役所広司、『PERFECT DAYS』アカデミー賞への意気込み語る「ここまできたら一番を獲りたい」
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役所広司が主演するヴィム・ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』の大ヒット御礼舞台あいさつが25日に都内で行われ、役所、共演の田中泯、アオイヤマダ、中野有紗が登壇。興行収入10億円を突破し、米国アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされている本作について想いを語った。
【写真】田中泯、アオイヤマダ、中野有紗もイベントに登場
ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が、長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた本作。日本の公共トイレのなかに「small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)」を見いだし、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ。
第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したほか、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第43回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待されるなど、世界中の映画祭を席巻。日本国内では第36回東京国際映画祭オープニング作品に選ばれ、日本アカデミー賞(優秀作品賞、優秀監督賞、優秀主演男優賞)、キネマ旬報ベスト・テン(日本映画監督賞、主演男優賞)を受賞。米国アカデミー賞では国際長編映画賞の日本代表作品としてノミネートされており、受賞への期待が高まっている。
この度、2023年12月22日の公開から2ヵ月が経った今もなお上映劇場が増加し続け、興行収入10億円を突破した本作が、都内で大ヒット御礼舞台あいさつを実施。
満員の観客から大きな拍手で迎えられ、キャストの役所広司、田中泯、アオイヤマダ、中野有紗が登場。あいさつを求められると、役所はまずSNSや周りからの疑問の声に触れ、「平山の玄関のドア、ちゃんとロックしてるのか(と疑問を持っている人に対して)。あれはですね、ちゃんとこう、押して閉めるとロックがかかる、ちょっと旧式の玄関のドアなので、ちゃんとロックしてます。もう1つは、公園でサンドイッチを食べる時に手を洗ってるのかとのことですが、こちらも。ちゃんと洗ってます。洗ってるシーンはないですけども。どうぞよろしくお願いします」と、鑑賞後の観客に向かってユーモラスに呼びかけ笑いを誘った。
その後、アオイと中野も観客に感謝の意を表してあいさつし、最後にホームレスを演じた田中が「僕はいない人のような役なもんですから、皆さんから見えないかもしれないし、今日来なくてもよかったのかもしれないと思ってます。よろしくお願いします」と独特の表現であいさつ。
司会者から2回以上作品を見ている観客が多いことを知らされると、役所は「おかわりをしてくださっている方が多いのは嬉しいですね」と喜び。中野は「モデルのお仕事でお会いしたいろんな現場で、『PERFECT DAYS』みたよと。声をかけられることが多くて、たくさんの人に届いているんだなと思う」と語り、アオイも「ヨーロッパでも(本作について)パーフェクト!と言ってもらうことがあった」と嬉しいエピソードを明かす。
80ヵ国以上で公開され、世界的なヒットを記録している本作。海外でもインタビューを受ける機会が多い役所は「忘れかけていたことを思い出させてくれるとか、東京の風景に感動したという話はよく聞きます。便利な世の中になって、大都市に住んでいる人はちょっと立ち止まってみようか、というふうに思われるみたいです」と、海外からの感想を披露。
そして本作が、ヴェンダース監督作として歴代最高記録だということについてコメントを求められると、アオイは「THE TOKYO TOILETの活動を小中学生と一緒に体験させていただいたが、本当に大変なことで、それが海外に知られていくのはすばらしいことだと思う」と語り、田中も「世界中から反応があるっていうのは、世界がある種似たもので通じている、繋がっているということの証拠じゃないかなって思います」と重ねた。
お気に入りシーンを聞かれた際、役所は「ヴェンダース監督はロードムービーをたくさん撮られていて、人間がこう移動していく快感っていうのはありますよね。そういう意味では、やっぱり出勤する平山とか、ニコと2人で自転車に乗って橋を渡る風景っていうのは、セリフはないんですけれども映画的な快感があるのではないか、という風に思いました。(反響の多いラストに触れると)本当に映画のマジックで、感情的に色々喜怒哀楽が出てるっていうのは、やっぱりうまく脚本ができてるんじゃないでしょうか」とコメント。
中野は、苦手だった自転車に乗るシーンをあげ、「役所さんがフォローしてくれてほっとしたシーンでした」と明かし、アオイは「見る度に感情が変わる」としつつ、1ヵ所だけいつも笑ってしまうシーンとして「平山が銭湯に行っているシーン」をあげ、「後ろの方でおじいちゃんが立つときに、椅子がくっついてポコンっと外れるところ。是非見てほしいです」と呼びかけ、観客の笑いを誘った。
本作が米アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされていることに触れると、中野は「演技も映画の出演も初めての中で実感が湧かない」と吐露。アオイは「ものすごく遠い存在だと思っていた」、田中は「獲ろうと思って獲れるもんじゃない。監督を中心として現場の偉大さを感じます」と語った。そしてノミネート発表をYoutubeで見ていたという役所は「いい作品がたくさんある中で、日本代表として選んでいただいて、最終的にノミネートまでいってほっとした」と振り返り、「ここまできたら一番を獲りたいですけど、世界中の仲間たちと一緒に楽しみたい」と、3月10日に控えた米アカデミー賞授賞式に向けて想いを語った。
そして4人は、大ヒットを記念して地球を模したくす玉を割り、改めて大きな拍手を受けた。最後は「ヴェンダース監督の『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の記録を超えたというのは、恩返しができたと思う。そして、(映画をきっかけに)東京のトイレを観にくる方も増えているようです。僕たち使う人たちが、綺麗に使おうという気持ちになることがTHE TOKYO TOILETの目指すところですので、世界に誇れるトイレをみなさんと一緒に作りたいと思います。2回3回と観に来てください!」と呼びかけて締めくくった。
映画『PERFECT DAYS』は公開中。
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