企画・斎藤工による竹林亮監督作『大きな家』、今秋公開&特報解禁 “親と離れて暮らす子どもたち”の等身大の姿を描写
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■竹林亮(監督)
斎藤工さんからお誘いをいただき、とある場所にお話を伺いに行ったのは2年半前でした。そこから何度もお邪魔するうちに、珍しい存在だった撮影班は次第にそこの日常の中に溶け込んでいきました。この映画は、ある子どもたちのごく普通の日常を記録した物語です。彼らは様々な理由で自身の親から離れて児童養護施設と呼ばれる場所で日常を送っています。
僕たちは、この映画を、彼らの人生のお守りになるようにと願いながら作りました。なぜなら、彼らは18歳を過ぎて自立する準備ができたら、その場所から巣立ち、自分の力で生活をしていかなければならないからです。
彼らが将来生きることに苦労するようなことがあった時に彼ら自身が観て、生きる力を呼び覚ますお守りのような存在になってほしい。いつか自分たちのこれまでの道のりを客観的に見て、昔から自分には前に進んでいく強い力があり、さらに多くの周囲の人々に純粋に応援されて、ここまでやってきたのだと思い返せるようなものでありたい。そう願いながら、共に過ごした時間を記録し、編集をして1本の映画にしました。
従って、これは未来で葛藤している僕の大切な友人達のための映画に他ならないのです。そして、そんな彼らの映画を観ることで、これまで知らなかったすぐそこにある日常の中の「普通」の感覚の差分の中に、全ての人々にとって大切なものが隠されているのを目撃していただきたいです。
■斎藤工(企画・プロデュース)
竹林監督の『14歳の栞』を観に行った時、上映前に劇場から未成年である出演者方のプライバシーを守る誓約書の様な用紙が配られました。その後も配信への移行を安易にしなかったり、彼ら彼女らに配慮のある上映の形態を今日まで貫いていて、ドキュメンタリー映画における被写体と観客の本来あるべき誠実な距離を感じました。
カメラが向けられ人生の断片が切り撮られると同時に、社会的に守られるべき子どもたち。そんな竹林監督のチームならば、児童養護施設で生活をしている子どもたちと共に、映画と言う必然に向かえるのでは無いかと思いました。
個人的にご縁を頂いたとある養護施設には、光り輝く子どもたちが今日も生活しています。彼ら彼女らの「これまで」と「これから」には我々の想像を絶する様々なドラマがあり、彼ら彼女らの世の中との向き合い方、そして⼦どもたちを支える施設の職員の方々の日常。本作は普段は立ち入れない場所に置ける「当たり前」と観客がどう向き合うかが問われる、混沌とした現代に必然的に生まれた作品になったと心から思います。