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村上春樹原作、初のアニメ映画化『めくらやなぎと眠る女』7.26公開、日本版ビジュアル&予告解禁

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映画『めくらやなぎと眠る女』日本版ビジュアル
映画『めくらやなぎと眠る女』日本版ビジュアル(C)2022 Cinéma Defacto‐Miyu Prodcutions‐Doghouse Films‐9402‐9238 Québec inc. (micro_scope‐Prodcutions l’unité centrale)‐An Origianl Pictures‐Studio Ma‐Arte France Cinéma – Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

 村上春樹の作品を初めてアニメ映画化し、アヌシー国際アニメーション映画祭2022にて審査員特別賞を受賞したピエール・フォルデス監督作『めくらやなぎと眠る女』の公開日が、7月26日に決定。日本版ビジュアルと予告編が解禁された。

【動画】印象的シーンがアーティスティックに描かれる『めくらやなぎと眠る女』予告編

 『めくらやなぎと眠る女』は、音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスが、村上春樹の6つの短編(「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと、眠る女」)を翻案した作品。なお、村上作品がアニメーション映画化されるのは本作が初。

 2011年の東京。東日本大震災から5日後、刻々と被害を伝えるテレビのニュースを見続けたキョウコは、置き手紙をのこして小村の元から姿を消した。妻の突然の失踪に呆然とする小村は、図らずも中身の知れない小箱を女性に届けるために北海道へと向かうことになる。同じ頃のある晩、小村の同僚の片桐が家に帰ると、そこには2メートルもの巨大な「かえるくん」が彼を待ち受けていた。

 かえるくんは迫りくる次の地震から東京を救うため、こともあろうに控えめで臆病な片桐に助けを求める。めくらやなぎ、巨大なミミズ、謎の小箱、どこまでも続く暗い廊下。大地震の余波は遠い記憶や夢へと姿を変えて、小村とキョウコ、そして片桐の心に忍び込む。人生に行き詰まった彼らは、本当の自分を取り戻すことができるのだろうか…。

 フォルデス監督にとって初の長編アニメーション作品で、音楽も自ら手掛けた本作は、2022年6月に世界最大の国際アニメーション映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭でプレミア上映された際、審査員特別賞を受賞。2023年3月に新しく始まった新潟国際アニメーション映画祭では、見事第1回目のグランプリに輝いた。同映画祭で審査員を務めた押井守は、受賞理由として「現代文学を表現する最適のスタイルなんじゃないかということで、3人の審査員の意見が一致した、唯一の作品」とコメント。さらに、レザルク・ヨーロッパ映画祭作曲賞を受賞したほか、世界各国の映画祭に出品され高い評価を得ている。

 大地震によって、人生に行き詰まっていることすら気づいていなかった人々が、自己のなかの真実に気づき、目覚めていく。あるものはかけがえのない出会いを、あるものは決定的な別離を体験する。フォルデス監督が「言葉にならないほど繊細で、想像を超えるほど奥深い感情、そんな感情を掻き立てる小説を使わないことなど考えられなかった」と語る6つの短編を再構成した本作には、それぞれの短編のもつ美しさやリズムが失われることなく1つの流れの中で生きている。

 そして、フォルデス監督が「ミステリアスなものが絶え間なく問いを生み出すような雰囲気を目指した」と語る<イメージ>のなかに、実際の俳優の動きを撮影してアニメーションの動きに取り込む“ライブ・アニメーション“とよぶオリジナルの手法でリアリティを植え付けることにより、唯一無二の世界観が生みだされた。

 日本版ビジュアルは、読者からも非常に人気の高い“かえるくん“を軸に、小村、片桐、キョウコら登場するキャラクターが内包されたもの。そしてかえるくんに寄り添う猫(ファンにはおなじみの“ワタナベノボル“)にも注目だ。

 予告編は、小村が妻から「あなたは…まるで空気の塊みたい」と告げられるシーンや、小村の同僚の片桐が“かえるくん”から「ここへ来たのは東京を救うためです。大壊滅からね!」と言われ驚く姿など、数々の印象的なシーンを収めたもの。音楽や絵画などさまざまなアートに精通するフォルデス監督ならではの感性で、日常からシームレスに非日常に導かれていく本作の魅力の一端を垣間見ることができる映像となっている。

 「平凡な日常世界において、現実と内面の両方で起こった劇的な出来事によってその世界が揺るがされるちょっとマジカルな物語を、独自の方法で語りたかったのだ。マジックリアリズム的世界観でこの精神生活を見せるには、アニメーションは完全な手法だと感じている。なぜなら全てを一から作り直す必要があり、それが現実とのずれを生みだすからだ。このずらしと転移の必要性が私の監督としてのアプローチには不可欠なのだ」とフォルデス監督が語る通り、本作はアニメーションだからこそ実現できた“日本”の物語となっている。

 なお予告編の最後には、村上春樹との共著でも知られる米文学者で翻訳家の柴田元幸から寄せられた「どんな物語も映画も多かれ少なかれ、現実と想像、外界と内面、現(うつつ)と夢とのあいだにいつのまにか建てられてしまった門を開けてくれる装置であるわけだが、この映画はその役割をとりわけしなやかに、深く軽やかに果たしてみせる」というコメントも収録されている。

 映画『めくらやなぎと眠る女』は、7月26日より全国公開。

映画『めくらやなぎと眠る女』予告編

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