「あなたにこの裁判の証人になってもらいたい」 『ブルーボーイ事件』冒頭20分をコミカライズ
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「性別適合手術」が違法とされていた1960年代に実際に起きた事件に着想を得た映画『ブルーボーイ事件』より、新進気鋭の漫画家・新庄花純による映画冒頭約20分のコミカライズが公開された。
【写真】新進気鋭の漫画家・新庄花純が『ブルーボーイ事件』冒頭をコミカライズ
1960年代後期、東京オリンピックや大阪万博で沸く、高度経済成長期の日本。国際化に向け売春の取り締まりを強化する中、性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けた通称ブルーボーイたちを一掃し街を浄化するため、検察は手術を行った医師を逮捕。手術の違法性を問う裁判には、実際に手術を受けた証人たちが出廷した。
東京の喫茶店で働く主人公・サチ(中川未悠)は、恋人の若村(前原滉)からプロポーズを受け、幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野(錦戸亮)から証人として出廷してほしいと依頼を受ける。実はサチは、性別適合手術をしたことで裁判にかけられた赤城(山中崇)のもとで手術を受けた患者のひとりだった。サチは、かつての同僚・アー子(イズミ・セクシー)やメイ(中村中)、ブルーボーイの仲間・ベティ(真田怜臣)、ユキ(六川裕史)、ツカサ(泰平)と自分たちの尊厳をかけて裁判に向き合うことになる。
かつて実際に起きた“ブルーボーイ事件”に衝撃を受け、映画化を決意したのは、『僕らの未来』『フタリノセカイ』『世界は僕らに気づかない』などで国内外から大きな注目を集める新鋭・飯塚花笑(いいづか・かしょう)監督。
このたび、本作の冒頭約20分をわかりやすく漫画化したコミカライズ版が公開された。
本作は、「性別を変えること」が明確に認められていなかった時代に、性別適合手術を行った医師が裁判にかけられた実際の事件をもとにしている。手術の合法性を問う法廷で証人となったのは、手術を受けた女性たち。彼女たちは“幸せか不幸か”という価値観で世間から論じられ、厳しい偏見の目にさらされることとなる。
漫画は、証言台に立つサチの印象的な姿から始まる。性別適合手術を受け、静かに暮らしていたサチは、恋人・若村と穏やかな日々を送っていた。しかし、弁護士・狩野から「あなたにこの裁判の証人になってもらいたい」と依頼され、平穏な生活が一変していく――。
作画を担当したのは、webアクション(双葉社)主催「第2回アクション月例漫画賞」で『緩んだ弦のための祈り』が入選を果たした新進気鋭の漫画家・新庄花純。戦後の日本を舞台に、マイノリティ同士の理解や対立を描いた彼女の作風が、“ブルーボーイ事件”と通じ合うことから今回のオファーが実現した。昭和漫画を思わせるタッチで、作品のレトロな空気感を見事に表現している。
現在公開されているのは冒頭6ページで、サチが裁判に関わるきっかけとなるエピソードを描いた内容。全ページは作品公式X(@blueboy_movie)で公開中。
映画『ブルーボーイ事件』は、11月14日より劇場公開。

