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大島渚監督の名作がカンヌで上映 ジェレミー・トーマス「彼は私にとって同志」

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ジャ・ジャンクー監督、ジェレミー・トーマス(囲み取材にて)
ジャ・ジャンクー監督、ジェレミー・トーマス(囲み取材にて) クランクイン!

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 開幕中の第67回カンヌ国際映画祭のカンヌクラシック部門にて、15日午後(現地時間)、大島渚監督の『青春残酷物語』(60)が上映された。

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 同部門は過去の名作の再発見や、修復された作品の紹介などを目的に設立された部門で、今年は『荒野の用心棒』(セルジオ・レオーネ)、『パリ、テキサス』(ヴィム・ヴェンダース)、『終電車』(フランソワ・トリュフォー)など22本が上映される。同作はデジタル4K修復版のワールドプレミアとして、カンヌクラシックの今年のトップバッターを飾った。海外でも絶大な知名度と人気を誇る大島監督の初期の傑作とあって、会場には世界中の映画関係者が詰めかけた。

 上映に先立ち、昨年の同映画祭コンペティション部門にて『罪の手ざわり』で脚本賞を受賞した中国のジャ・ジャンクー監督と、世界的に著名なイギリスのプロデューサー、ジェレミー・トーマス氏が登壇し、『青春残酷物語』と大島渚監督の偉業を讃えた。

 ジャ監督は北京電影学院の学生時代に大島作品に触れたという。最初に観たのは『愛のコリーダ』の一部だったが「社会的なタブーが描かれており、それを破ろうとする監督の強い意志を感じた。その想像力に感動し、映画に対する革命だと勇気づけられた」と振り返る。その後、『青春残酷物語』『少年』を同時期に鑑賞し、「日本の社会が大きく変動し、若者が体制に反発する大きなエネルギーがあふれていた1960年代が、自分の若い頃である1980年代の中国に似ていて、近しい雰囲気」だと感じたそうだ。その影響は『一瞬の夢』『プラットホーム』『青の稲妻』といった自身の監督初期に発表した若者三部作にも非常に影響を与えているという。「個人を描くことによって、社会全体をも捉えるスタイルや、映画作家は社会問題と格闘しながら創作を続けていく、という精神性を受け継いだ」と語った。

 一方、アカデミー賞に輝く『ラスト・エンペラー』(ベルナルド・ベルトルッチ)やデヴィッド・クローネンバーグ、テリー・ギリアムなどのプロデューサーとして知られるトーマス氏は、北野武監督『BROTHER』や、最近では三池崇史監督の『十三人の刺客』『一命』など日本との合作経験も豊富だ。大島渚監督作品では、『戦場のメリークリスマス』(83)、『御法度』(99)を手がけており、両作品ともにカンヌ映画祭のコンペティション部門に出品されている。「才能にあふれた監督と一緒に仕事ができて幸運だった」と目を細めて懐かしそうに語り、自身の製作作品を除くと『少年』がもっとも好きな作品だと挙げた。

 昨年、大島監督が亡くなった際には、手術直後で飛行機に乗れずに葬儀に駆けつけられなかったが、のちほど写真でその様子を目にして、「とても悲しみにくれて、泣きました。彼は私にとって“同志”のような存在であり続けた」と惜しんでいた。

 同作のデジタル修復版は、本年11月に開催される第15回東京フィルメックスの特集上映にてジャパンプレミア上映が予定されている。(文:岡崎 匡)

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