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石井裕也監督、新作は『町田くんの世界』 少女漫画原作に挑戦で「自由を得た」

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映画『町田くんの世界』でメガホンを取ることが発表された石井裕也監督
映画『町田くんの世界』でメガホンを取ることが発表された石井裕也監督 クランクイン!

 映画『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石井裕也監督が、昨年5月に実写映画化が発表された安藤ゆきの人気少女漫画『町田くんの世界』で、メガホンを取ることが明らかになった。少女漫画の中でもひときわ特異な世界観を、石井監督はどんなアプローチで映像化するのか? プロデューサーを務めた北島直明を交えた囲み取材で、本作に込めた思いを熱く語った。

【写真】映画『町田くんの世界』でメガホンを取る石井裕也監督

 アナログ気質で超不器用、勉強も運動も大の苦手だが、困った人がいると見過ごせない。一風変わった真面目一直線の高校生・町田一の破天荒な日常やヒロイン・猪原奈々との恋を描く本作は、少女漫画の中でも異彩を放つ作品だが、『オオカミ少女と黒王子』や『ちはやふる』など漫画原作の映画化で実績を持つ北島プロデューサーは、「同じ材料でも、誰が料理するかで全然違った作品になる。石井監督が“町田くん” という特異なキャラクターを映画として再構築したらどんなものが仕上がるのか、それが観たくてたまらなかった」と監督起用の理由を明かす。

 これに対して石井監督は、「このオファーを受けるまで、少女漫画を読んだことがなかったので未知の世界でしたが、少女漫画原作だからこそ得られる自由を感じましたね。人を好きになるとか、恋をするとか、大人になると口に出して言うのもはばかるような気恥ずかしい題材を、なんのてらいもなくやり続ける少女漫画のパワーに僕も乗っかりたいなと思いました」と快諾した旨を笑顔で語る。ただし、「LOVE礼賛映画にだけはしたくない」と強調する石井監督。

 「全人類を家族のように愛する少年が、特定の誰かに恋することがなかなかできない…この理屈をどう考えればいいか。仮に町田くんがキリストのような存在だとするならば、この物語では、神様みたいな少年がどんどん人間的になっていく。でも、それが“喜ばしいこと” とは一概には言えない。人間味を帯びていくということは、つまり、何か神聖なものを捨て去ることだし、青春そのものがイノセンスな部分を失っていく期間でもある。延(ひ)いては博愛だった少年が、特定の人を好きなる、ということも決していいことだと言い切れないわけで、そこに人間の“哀しみ” が生まれる。人を好きになるって、必ず痛みを伴うし、責任も引き受けなきゃいけないし…。本作でそういうところまで行き着くことができたらなと思いますね」。

 石井監督の本作に対する熱い想いを聞き、一見シリアスな作品になるのではと想像しそうになるが、今回は、『舟を編む』や『あぜ道のダンディ』を彷彿させる笑いがふんだんに盛り込まれている作風なのだとか。「ここのところ“笑い” を忘れていたな、という思いもありましたね。高尚な喜劇みたいなことをずっとやりたいと思っていたんですが、今回の企画で少し肩の力が抜けたというか、“このくらいでもいいんじゃない?” というギャグ的な表現もたくさんあります(笑)。そう言った意味でも、自由を得た感じがしましたね」。

 脚本は、映画『夏美のホタル』の片岡翔と石井監督が共同で執筆。構成のしっかりした片岡の脚本に石井監督が手を入れる、という作業を繰り返し、練られていったという。「最終的には人を好きになる力、生命力、みたいなものにゴールに設定したかったので、原作者の安藤さんが作ったもの、片岡さんが作ったものをいい意味で壊していかないとだめだなと思いました。そこからスタートし、生々しい人間味を出さないと絵空事になってしまうし、“映画”として成立しないと思ったので」。

 今回の映画化に際し、原作者の安藤は「一人の人間から生まれた小さな作品がたくさんの人が構築する大きな企画になっていくということは、わくわくする一方で不思議な気持ちでいっぱいです。この映画の関係者の一人になれたことを幸福に思います」とコメントを寄せた。

 原作ファン、映画ファンのさまざまな思いを乗せた石井監督最新作『町田くんの世界』。まさに夢のコラボとなりそうだが、果たしてどんなキャスティングが発表されるのだろうか? 期待で胸が膨らむばかりだ。

 映画『町田くんの世界』は6月7日より全国公開。

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