『ジョーカー』ホアキン・フェニックスが憧れのロバート・デ・ニーロを前に無言だったワケ

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第76回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した映画『ジョーカー』で主演を務めたホアキン・フェニックスが、本作で憧れの名優ロバート・デニーロとの共演がかなったにもかかわらず、一言も言葉を交わせなかったエピソードを明かした。
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ホアキン演じる心優しい青年アーサーが、『バットマン』シリーズの悪役ジョーカーへと変貌していく衝撃のドラマを描く本作。ホアキンは第44回トロント国際映画祭で、本年より制定された、傑出した演技を行った俳優に対する功労賞・TIFFトリビュート・アクター・アワードを受賞した。その授賞式のスピーチで、「ロバート(・デ・ニーロ)は、僕が10代の頃から憧れてた役者だ。僕はものすごく彼のようになりたかった」と振り返った。
スピーチでは、亡き兄リバー・フェニックスとのエピソードを披露。「私が15歳、16歳だったある日、兄のリバーが、『レイジング・ブル』(1980)のVHSテープを持って、仕事から帰宅した。彼は私にその映画を観せてくれて、翌朝も、私を起こすと、もう一度観せてた。それで、“お前は演技をやるんだ。これがお前のやることなんだよ”と、僕の意志を確認することなく俳優として生きていけと言われれたんだ」と、リバーに背中を押され、俳優として生きていく覚悟を決めたことを明かした。
『レイジング・ブル』は、デ・ニーロが実在のボクサーの栄光と挫折の半生を演じ、アカデミー賞を受賞した作品。そんな思い出深い作品に主演していたデ・ニーロとの共演は夢のようだったという。「本人に会ったら、いろんな話を聞こうと胸を膨らませていたよ。なにしろ、相手はロバート・デ・ニーロだからね」とホアキン。しかし、ついにその日がきて、すっかりハイになっていた時、脚本9ページ分のシーンが控えていることを思い出し、プロに徹することを決めた。「彼とは全然おしゃべりしなかった。4日間ぶっ続けで撮影する重要なシーンで僕が役に集中することはとても重要なことだからね」と語る。
一方、監督・製作・共同脚本を務めたトッド・フィリップスは、デ・ニーロとの初対面の際、「撮影前にロバートの事務所に出向いて堂々と頼みました。“すみません、10分間だけ個人的な質問をさせてください。そのあとは必ずプロに徹しますから”と。結局、20分以上話をすることができたので、大満足でした」と打ち明けた。ファンとして接する時間を設けてもらったことに大喜びのフィリップスは、撮影に入ってからは「デ・ニーロとホアキンの9分間のシーンを撮影するのは、信じられない体験だった。どちらも僕が尊敬する人たちだから」と、今度は名優の共演に歓喜したことを振り返っている。
映画『ジョーカー』は10月4日より日米同時公開。