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役所広司が体現 人生をやり直そうとする元殺人犯の険しい道のり『すばらしき世界』予告

映画

 俳優の役所広司と西川美和監督が初タッグを組む映画『すばらしき世界』より、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。

【動画】人生のレールを踏み外した男が見た、新たな世界とは『すばらしき世界』予告編

 直木賞作家・佐木隆三の小説『身分帳』を原案とする本作は、人生の大半を獄中で暮らし、出所して改めて日常社会と向かい合った男の生き様を描く。これまで一貫してオリジナルにこだわり続けた西川監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ。主演の役所は、人生の大半を刑務所で過ごし、社会から“置いてけぼり”を食らいながらも、真っすぐすぎる性格とどこか憎めない魅力で周囲の人々とつながっていく元殺人犯の三上正夫役を演じる。本年度の第56回シカゴ国際映画祭にて、観客賞と最優秀演技賞(役所)の2冠を獲得した。

 予告編の冒頭、雪が降り積もる重い鉄の扉から三上正夫(役所)が出所してくる。人生の大半を刑務所に服役した彼は「今度ばかりは堅気ぞ」と意気込み、新たな生活を始めようとするが、再就職の相談に訪れた社会福祉課や、免許の再発行を求めた教習所の教官らに厳しくはねつけられ、13年ぶりの社会復帰は思うように運ばない。

 そんな悪戦苦闘する三上の存在を知ったテレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)が、テレビ番組のネタにしようと三上に近寄ってくる。ある日、サラリーマンが2人組のチンピラに絡まれているのを見かねた三上は、チンピラたちを暴力で叩きのめしてしまう。吉澤の指示でビデオカメラを回した津乃田は、初めて目の当たりにする三上の一面に言葉を失う。「何で闘ってぶちのめすしか策が無いと思うんですか。そこが変わらない限り、あなたは社会じゃ生きていけない」と社会復帰への姿勢を諭す津乃田に、三上は「お前らみたいなひきょうな人間になるくらいなら、死んでけっこうたい!!」と激しい怒号を浴びせるのだった。

 おのれの腕っぷしを頼りに裏社会を生き抜いてきた荒くれ者が、一般社会の中では哀れなくらい無力な存在となり、ことあるごとに社会のシステムにはじき出されていく。そんな三上の“普通の人間”への険しい道のりを、役所が人間臭い切なさとおかしみを漂わせ、時にただならぬ凄みをみなぎらせて体現する。

 現代社会の問題点を鋭くえぐり、私たちが生きる今の時代は“すばらしき世界”なのか? という問を投げかける本作。一方で、役所の目に一筋の光が差し、「この世界は 生きづらく、あたたかい」というキャッチコピーが掲げられたポスタービジュアルからは、今を懸命に生きる私たちには、つらいことだけではなく温かさもあるという希望を想起させる。

 映画『すばらしき世界』は2021年2月11日より全国公開。

映画『すばらしき世界』本予告

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