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『DAU. ナターシャ』のその後を描く6時間の大長編『DAU. Degeneration』今夏緊急公開

映画

映画『DAU. Degeneration(原題)』場面写真
映画『DAU. Degeneration(原題)』場面写真(C) PHENOMEN FILMS

 空前のスケールでソ連全体主義社会の再現を試みる「DAU」プロジェクトの劇場映画第2弾『DAU. Degeneration(原題)』が、今夏、シアター・イメージフォーラムほかにて限定公開されることが決まった。

【写真】映画『DAU. Degeneration(原題)』場面写真

 第70回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した第1弾『DAU. ナターシャ』は、2月27日にシアター・イメージフォーラムほかにて世界初となる劇場公開を果たし、ミニシアター・ランキングの上位に長期にわたりランクイン。全国46館で拡大公開された。同作を見た観客の多くから、「DAU」プロジェクトの別作品の日本公開を熱望する声が寄せられた結果、劇場映画第2弾である本作の公開が決まった。

 ロシアの奇才イリヤ・フルジャノフスキーは、処女作『4』が各国の映画祭で絶賛を浴びると、「史上最も狂った映画撮影」と呼ばれた「DAU」プロジェクトに着手。それは、いまや忘れられつつある「ソヴィエト連邦」の記憶を呼び起こすため、「ソ連全体主義」の社会を完全に再現するという前代未聞の試みだった。

 ウクライナの大都市で、かつてはソ連の重要な知性・創造性の中心地でもあったハリコフに、欧州史上最大の1万2千平米もの秘密研究所のセットを作り、オーディション人数約40万人、衣装4万着、主要キャスト400人、エキストラ1万人、撮影期間40ヵ月、撮影ピリオドごとに異なる時間軸、35mmフィルム撮影のフッテージ700時間という莫大な費用と15年以上もの歳月をかけて「DAU」の世界が作り上げられた。

 撮影に参加した多くのキャストたちは、長く続いた撮影の有無にかかわらず、その研究所の中で与えられた役割を担い続けた。そこから生まれた表現の形は劇場映画や配信作品、インスタレーションなどといった芸術分野のみならず、学術的研究成果などにも及び、「DAU」は、もはや単なる映画や芸術の枠を越えた超現実世界の様相を呈している。

 この途方もないプロジェクトの劇場映画第1弾として完成した『DAU. ナターシャ』は、第70回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で上映されたが、このとき別部門で上映されたのが本作。6時間にも及ぶ大長編であり、前作が描き出したスターリン体制下の1952年から10年以上が経過した1966~68年が舞台となる。

 タイトルの「Degeneration(荒廃)」が示すように、キューバ危機の後、フルシチョフ時代を経て、この時期はスターリンが築き上げた強固な全体主義社会の理想は崩れ始め、人々は西欧文化にも親しむようになっている。

 前作ではカフェのウエートレスであるナターシャの視点で閉鎖的かつ断片的に描かれた秘密研究所だが、本作では一転、カメラは研究所内部に入り込み、人間たちの生活をつぶさに映し出していく。そこでは、年老いた天才科学者レン・ダウの下、科学者たちが「超人」を作る奇妙な実験を繰り返していた…。前作の主人公ナターシャに壮絶な拷問を行ったKGB捜査官のウラジーミル・アジッポが、本作では少将に出世し、メインキャストに。研究所所長のアレクセイ・ブリノフやナターシャのカフェの同僚だったオーリャも登場するが、彼女は逮捕され収容所に入ったナターシャの代わりに店を取りしきる立場となっている。

 映画『DAU. Degeneration(原題)』は、シアター・イメージフォーラムほかにて今夏限定公開。

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