背中一面のタトゥーがビザ代わり シリア難民の男が辿る数奇な運命『皮膚を売った男』予告
第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた映画『皮膚を売った男』より、“自由と愛”を求めて背中一面にタトゥーを施すことになった難民男性の衝撃的な姿を収めた本予告が解禁された。
【動画】『皮膚を売った男』予告編
本作は、恋人に会うために自分自身がアート作品となった難民男性の数奇な運命を描く話題作。移民問題での偽善や、現代アートを巡る知的欺瞞を鮮やかに風刺する人間ドラマだ。第93回アカデミー賞国際長編映画賞のチュニジア代表に選出され見事ノミネートされたほか、第77回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門男優賞、第26回リュミエール賞合作賞、第31回ストックホルム国際映画祭脚本賞を受賞するなど世界中の賞レースを席巻した。
シリアから脱出した難民の主人公サムは、当局の監視下にあり国外へ出られなくなってしまう。海外で離れ離れになってしまった恋人に会うためなんとかして出国したいと考えていた彼は、偶然出会った芸術家からある提案を受ける。それは、背中にタトゥーをし彼自身が“アート作品”となることだった。芸術品となれば大金を得ることができ、展覧会の度に海外にも行ける。オファーを受けたサムだったが、次第に精神的に追い詰められてゆく。高額で取引されるサムを待ち受ける運命とは…。
主人公サム役をヤヤ・マヘイニが演じ、『007 スペクター』『オン・ザ・ミルキー・ロード』のモニカ・ベルッチ、『Uボート:235 潜水艦強奪作戦』のケーン・デ・ボーウなど豪華キャストが脇を固める。監督を務めるのは、過去にも『Beauty and the Dogs』(2017)でカンヌ国際映画祭「ある視点」音響賞を受賞し、アカデミー国際長編映画賞のチュニジア代表に選ばれたことがある実力派カウテール・ベン・ハニア。
本予告は、国に帰ることも海外に逃げることも出来ないシリア難民の主人公サム(ヤヤ)が、世界的芸術家のジェフリー(ケーン)から「私があげよう、自由に飛べる絨毯を」と言われ、「恵まれた側の人間よ。私の魂が欲しいか?」と皮肉たっぷりに返すと「背中が欲しい」と奇妙な提案をされる場面から始まる。
この出会いがサムを数奇な運命へと誘う。契約書にサインをし、愛する恋人に「ビザ」をもらえることを報告したサム。彼に課せられた契約は、自らがアート作品になることだった。背中一面にタトゥーをほどこし「VISA」を得たサムは、裕福な生活を手に入れ恋人と再会も果たし世界中から注目されるが、その一方で親戚からは罵倒される。さらに、生きている人間であるにもかかわらずオークションに出品されるという衝撃的な姿をさらす。
次第に精神的に追い込まれていき、祖国の惨状を伝えるテレビのニュースを見て「ママ」とうなだれるサム。終盤では壮大な音楽に乗せて、「巧妙に作られた大胆不敵なドラマだ」(NDTV)、「遊び心に満ち、時にパズルのように緻密で手に汗握る」(Screen International)といった本作に寄せられたコメントを挟み込みながら、衝撃の展開を匂わせる場面が次々と展開していく。果たして“悪魔”との契約ですべてを手にした男が迎える、誰も予想できない結末とは。その運命の行方に注目が高まる。
映画『皮膚を売った男』は11月12日より全国公開。