
蟹江敬三
出身地:東京都
生年月日:1944/10/28
蟹江敬三 出演映画作品
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リトル・マエストラ
制作年:2013年2月1日(金)公開
過疎化が進む漁村で長きにわたって活動している村民アマチュア・オーケストラの危機を救うべく奔走する高校生の女の子の姿を描いた青春ドラマ。『阪急電車』『SPEC~天~』などに出演し注目を集める有村架純がヒロインを演じるほか、釈由美子や松本利夫、蟹江敬三、篠井英介ら多彩なキャストが顔を揃え、絶妙なアンサンブルを見せている。
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ゆれる
制作年:2006年7月8日(土)公開
本年度のカンヌ映画祭でも大きな話題を呼んだ西川美和監督の長編第2作。練り上げられた物語は家族の崩壊と再生をじっくりと見つめ、骨太な仕上がり。オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀ら出演者の魂の入った演技も見応え十分だ。
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精霊流し
制作年:2003年12月13日(土)公開
原作はミュージシャンのさだまさしが、かつてヒットした自身の名曲を基に描いた自伝的小説。長崎の伝統的行事である精霊流しを象徴的に扱い、深い家族愛を美しく幻想的に紡ぎ出した。監督は『化粧師/kewaishi』など映像美に定評のある田中光敏。そして、母を演じる松坂慶子と高島礼子の競演も見どころ。それぞれに、息子への母性を魅力的に表現している。
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卓球温泉
制作年:
【卓球で町を救おうと奮闘する主婦の活躍を描くコメディ】 家出をした専業主婦が卓球に生きがいを見出し、さびれた温泉町を復興していく。意表を突いた設定が楽しい人情コメディ。主演は「新・居酒屋ゆうれい」の松坂慶子。
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いちげんさん
制作年:
【ボヘミアンな外国人青年が心から愛した日本人女性】 情緒溢れる京都の風物をバックに展開するラブ・ストーリー。この街に留学してきた“ガイジン“の若者と、感性豊かな日本人女性の触れ合いを、端正な映像美で語り明かす。
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本日またまた休診なり
制作年:
【愉快な医師とおかしな面々のハートフルな交流記】 ひとりの少年が奔放な医師の父や家族、人情に厚い下町の人々に見守られながら成長していく過程を温かい眼差しで描写。火野正平、蟹江敬三ら芸達者な脇役陣の演技が光る。
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犯す!
制作年:
図書館に勤める純真な娘が、ある日、自宅マンションのエレベーターの中で強姦され、性に開眼。しかし強姦されなければ燃えられない彼女は、その強姦魔を捜し出し、これまでにない快感を味わうというアクション映画タッチで描かれたロマンポルノ。強姦魔を演じるのは当時、強姦役でならした蟹江敬三。
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ナースのお仕事/ザ・ムービー
制作年:
【毎度お騒がせのナース、朝倉いずみが大ピンチ!?】 観月ありさがドジでおっちょこちょいのナースを等身大で演じて人気の、TVドラマシリーズがいよいよ劇場版で登場。藤木直人、松下由樹らお馴染みレギュラー陣も顔を揃え、ファンは必見だ。
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マナに抱かれて
制作年:
【疲れた心と身体に効果あり! ハワイを舞台にした癒しムービー】 ハワイの言葉で“超自然の力““魂“などを意味する“マナ“。傷ついたひとりの女性が、ハワイで島の人々との交流や雄大な自然に触れるうちに“マナ“の大切さに気づくまでを優しく見つめる。
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銃声/LAST DROP OF BLOOD
制作年:
【秋元康プレゼンツ! 仕掛け満載の異色ヤクザ映画】 才人、秋元康が監督を務め、多彩なアイデアを詰めこんだヤクザ映画。奇想天外なバイオレンス描写、意表を突くキャスティング、ツボを心得たキメのセリフなど、随所に秋元節が光る。
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KARAOKE/人生紙一重
制作年:
【誰も知らないカラオケ誕生秘話 】 今や世界の共通語となった“カラオケ“の生みの親、井上大佑の半生を描いた知られざるサクセス・ストーリー。ロカビリーに憧れ、音楽で生きていくという夢を抱き、挫折しながらも熱い魂で突き進んだ無名の偉人。俳優のみならず、ミュージシャンとしても活躍する押尾学が等身大で演じている。
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MAZE〈マゼ〉
制作年:
【ベテラン俳優、蟹江敬三が映画初主演 】 高知を舞台にした、感動のヒューマン・ドラマ。両親を失った上、病に倒れた少年と、その祖父が深い絆で結ばれていく。日本を代表する実力派俳優、蟹江敬三が意外にも映画初主演。無骨な漁師の祖父に扮し、味わい深い演技を披露している。
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天国は待ってくれる〈2007年〉
制作年:
【幼なじみ3人の友情、愛情を越えた絆のカタチ】 TVドラマ『ちゅらさん』など多くのヒット作の脚本を手がける岡田惠和が初めて書き下ろした小説を元に、男ふたり女ひとりの幼なじみ3人の絆を描いた感動作。主演を務めるV6の井ノ原快彦がハマリ役となる心優しき青年を好演、幼なじみ役に映画初出演となる清木場俊介、『地下鉄に乗って』の演技も記憶に新しい岡本綾が扮する。井ノ原、清木場がそれぞれ歌うW主題歌も必聴!
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全然大丈夫
制作年:
【ユルいって言うな!真剣で不器用な恋の行方】 将来の夢ばかり見て暮らす植木職人の男、最高にお人好しな清掃会社の社員、誰もがイラつくほど手先が不器用な女……社会の外れでひっそりと生きる三人の不器用な恋の行方は?『グループ魂のでんきまむし』などでカルト的な人気を誇る藤田容介監督が、荒川良々、岡田義徳ら絶妙なキャストを得て、繰り返し観たくなる深い世界を描き出している。
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ご挨拶
制作年:
冠婚葬祭やパーティーなど、日常で使われる“挨拶“をモチーフに、今を生きるタイプの違う各世代の女性が、それぞれの人生と直面しながら奮闘する姿を、3人の監督が独自の視点で描いたオムニバス。演出を「グッバイ・ママ」の脚本家・寺田敏雄をはじめ、市川準、モモイ・カオリ(桃井かおり)が担当。
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リメインズ 美しき勇者たち
制作年:
千葉真一が主宰するJACの創立20周年を記念して製作された冒険アクション。大正末期の北国の山村を舞台に、“赤マダラ“と呼ばれる人喰い熊と、5人の腕利きマタギ衆との壮絶な戦いを描き、随所にJACお得意のアクション・シーンが盛り込まれている。“音楽監督“真田広之のセンスも出色。
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妖女の時代
制作年:
長崎俊一監督、大森一樹脚本のコンビが作ったサイコ・サスペンス。辰野吾郎は学生時代の友人から、美人の女医・葉子の調査を頼まれる。調査を進めるうち、患者から天使のように慕われている葉子が、意外にもホストクラブに通いつめていることを知る。片岡鶴太郎の初主演作で、愛に悩む男をシリアスに演じている。
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メロドラマ
制作年:
かつて渡哲也主演の日活ニュー・アクション“無頼“シリーズでならした小沢啓一監督によるハードボイルド・ロマン。15年前の犯罪が時効寸前に迫っている、二人の男と一人の女。過去を捨てて明日に生きようとする3人に、犯罪組織の魔の手が伸びていく……。
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藏
制作年:
『毎日新聞』連載時より評判を呼んだ宮尾登美子のベストセラーの映画化。大正から昭和初期、雪深い新潟の蔵元・田乃内家に生まれ、“烈“という女の子に似合わぬ猛々しい名をつけられた少女とその養母・佐穂のドラマを中心に、旧家の波乱に満ちた変転を描く文芸大作。烈が、視力を失いながらも、親の反対を押し切って、若い蔵人・涼太との恋を成就し、女性初の蔵元となって家を継ぐまでが描かれる。宮尾文学はこれが4度目になる高田宏治が脚本を担当、監督は、文芸作品で常に堅実な力量を見せる降旗康男。なお、主役の烈には当初、宮沢りえが予定されていたが、キャスティングの不満から降板、一色紗英に交代した。
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鬼平犯科帳
制作年:
人気TV時代劇『鬼平犯科帳』をTVと同じ中村吉右衛門主演で映画化。火付盗賊改方長官・長谷川平蔵は、兇賊・蛇の平十を捕らえ、火あぶりにかけるが、平十は“仲間が必ず仇をとる“と不吉な言葉を残して果てた。平蔵の密偵・おまさは、昔なじみで今も心に秘める狐火の勇五郎と再会。その夜、盗賊が薬種問屋・山田屋に押し入り、家人らを惨殺、“狐火“の絵札を残して消えるという事件が起こった。おまさは、一味の頭は勇五郎の異母弟の文吉であることを平蔵に告げ、勇五郎と二人で文吉らのもとに乗り込む。危ないところで盗賊改方に助けられるが、文吉の背後には大坂(昔の大阪)の大盗賊・白子の菊右衛門がおり、江戸の大頭目・荒神のお豊と手を組んで平蔵失脚を謀ろうとしていた……。映画では、平蔵の情の部分とあわせ、“鬼“と呼ばれる凄味が強く描かれていく。
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文学賞殺人事件 大いなる助走
制作年:
文壇界を完膚なきまでに笑い飛ばした天才・筒井康隆の傑作小説を映画化。ひょんなことから同人誌で小説を書き始めた主人公の青年は、自らの作品を直本賞受賞作にするため、審査員にゴマをすり、金を積み、うしろの童貞を捧げ、恋人を献上する。そして、出た結果は? 小説は、すべての登場人物が狂気をひきずり、その渦へ巻き込んでいくという徹底したものだが、映画では主人公に肩入れし、狂気に巻き込まれてしまった悲劇の人物として描いている。その点が弱点ともいえるが、スタッフたちの優しさともとれる。妹役の松本典子で終わるラストも鈴木監督らしい。筒井氏自身、SF作家役で怪演。
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あらかじめ失われた恋人たちよ
制作年:
劇作家・清水邦夫と当時まだTVディレクターだった田原総一朗の共同脚本・共同監督による鮮烈な一編。田原も清水も同じ大学から岩波映画社に入社した先輩と後輩同士である。桃井かおりがろうあ者の少女役で本格的デビューを飾り、その美しくふくよかな裸体は当時の若い観客たちをワクワクさせた。また、当時新進気鋭の写真家・加納典明や歌手のカルメン・マキが出演し、話題をまいた作品でもある。オリンピック候補として挙げられた棒高跳びをあきらめて、次のスポーツとしてかっぱらいを選んだ主人公。彼が、北陸の地をさまよい歩きながら出会った身体障害者の兄弟との心の交流をみずみずしいタッチで描いた、一種のロード・ムービー。
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聖母観音大菩薩
制作年:
“禁断の人魚の肉を食べたものは、永遠の時を苦しみながら生きねばならない“という伝説を生きた女を描く。主役に「愛のコリーダ」の松田英子を起用、ファンタスティックな脚本とともに、若松監督の演出力が光る。
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旅路 村でいちばんの首吊りの木
制作年:
奥飛騨に住む母親と、東京で東大受験を目指す娘の手紙のやりとりの中で、不可解な殺人事件が解明されていくまでを描く、サスペンス・ミステリー。手錠をはめて心中した息子の恋人の手首を切るという、母親の嫉妬とすさまじいばかりの執念を倍賞千恵子が熱演。
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スケバン刑事
制作年:
和田慎二原作の同名マンガに設定を借りた、TVシリーズの映画化。南野陽子の映画初主演作。ヨーヨーを武器とするスケバン刑事サキは、不良生徒を兵士に変えクーデターをたくらむ一味と対決する。南野のひたむきな表情が素晴らしい。
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やさしいにっぽん人
制作年:
東陽一監督のデビュー初期の代表作。沖縄・慶良間列島の集団自決を生きのびたものの、今はそのことを何も覚えていない青年が、真の“ことば“を求めて旅を続ける姿を描く。いずれも個性的な俳優たちの奇妙な存在感が印象に残る。
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ムツゴロウの結婚記
制作年:
同級生はみんな一流会社へ就職していくが、大の動物好きで、動物たちと一緒に孤島で動物の島を作って住むことが夢だというムツゴロウは、好きな彼女との結婚もままならない。それでも二人は夢に向かって走っていくのだった。明るく楽天的な青春像を描いた好編。ムツゴロウこと、畑正憲原作の映画化。
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忠臣蔵外伝 四谷怪談
制作年:
“忠臣蔵“と“四谷怪談“。この二つをミックスさせた異色の青春ラブ・ストーリー時代劇。民谷伊右衛門を赤穂浪士の一人に設定。その彼が、金と名誉のために恋人・お岩を捨て、浪士としての義を捨てて堕ちくいく様を、現実と幻想が交錯する映像のなかに描き出している。深作欣二監督としては、「赤穂城断絶」(1978)以来の“忠臣蔵“ものだ。お岩に扮した高岡早紀の体当たりの演技が見どころ。
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顔役〈1971年〉
制作年:
勝新太郎の意欲に満ちた監督第1作だが、発表当時はほとんど評価されなかった。勝自身が扮する破天荒な刑事が、信用金庫の不正融資事件の黒幕を暴き、その真犯人を倒すという内容。その映像から炸裂するパワーは類型的なジャンル映画の範疇から文字通りハミ出していく。手だけを追い続けることで賭博場の空気を伝える白熱の冒頭から、いきなり足の指の間から顔をのぞかせる主人公の初登場シーン、夢幻世界を思わすカー・クラッシュのめくるめくイメージ、そして画面が土に覆われ暗くなっていくクライマックスまで、目も覚めるような場面の連続。徹底的にクローズアップにこだわった構図は個性派俳優たちの面構えや存在感をシンプルに引き出し、また要所要所に挿入された“路上”のショットの数々は社会への確かな視点も感じさせる。その一方で、鏡像を効果的に用いたり、ファンキーな劇中音楽を寸断したりと、繊細な演出も発揮。なにはともあれ、唯一無二のグルーブ感が全編を疾走する一大娯楽作であることは間違いないだろう。
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花芯の刺青 熟れた壺
制作年:
少女時代、娘道成寺の蛇身の衣装を着た役者に犯された経験を持つ江戸千代紙人形師・みち子。身持ちの堅いことで通っていた彼女が、その役者の息子との情事をきっかけにして欲情を爆発させていく様を、小沼勝が豊かなイメージを積み重ねて描いたロマンポルノの秀作。みち子を演じるのは、谷ナオミ。
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犬死にせしもの
制作年:
終戦直後、瀬戸内海を荒らし回った海賊たちの青春を描く海洋アクション。昭和22年、復員兵の重左は、戦友で今は海賊をやっている鬼庄に出会い、その仲間に加わる。仕事は順調だったが、嫁入り船から花嫁を奪ったことが瀬戸内の大親分・花万にばれて狙われるハメに。嫁ぎ先から、花万に彼女を取り返すようにと依頼がきたのだ。だが、政略結婚の犠牲となるところだった花嫁・洋子は重左と恋に落ち、故郷・竹田津へ逃げようとする。そこを花万の追っ手に見つかり、重左たちとの激しい戦いが始まる……。アクションもさることながら、一人一人死んでいく仲間たちの描き方が鮮烈だ。
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十九歳の地図
制作年:
ドキュメンタリー「Black Emperor ゴッド・スピード・ユー!」でデビューした柳町光男監督の初の劇映画で青春映画の傑作。新聞配達をしながら予備校に通う19才の主人公の日常から湧き上がる社会への敵意を鮮烈に描いて、従来の青春映画の枠を打ち破った。住み込みの新聞配達店での無為な生活、相部屋の中年男と足の悪いバケモノじみた娼婦とのみじめな恋愛、配達先で受ける屈辱。そんな生活からくるやり場のない怒りに、主人公は脅迫電話をかけ続け、また右翼の宣伝カーに乗った自分を夢想する。配達先の地図に向って各家庭を○×で採点するシーンは絶賛された。青春期のエネルギーの昂まりを実によく捉えている。
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二代目はクリスチャン
制作年:
聖なる教会に仕える純真なシスターに、ヤクザの二代目が惚れ込み、組員全員に洗礼を受けさせるなど大騒動。やはりシスターを愛する刑事と張り合って二転三転の末、二代目とシスターは結婚にこぎつける。ところが、式場で二代目は情婦の手にかかり殺されてしまう。二代目を継いだシスターは、対抗する組の仕打ちに手を出さず、組員にもひたすら耐えることを命じるが、いやがらせはエスカレートし、組員は一人二人と命を落としていく。言いつけを守り、黙って殺される組員の姿にシスターはついに白刃を手に立ち上がるが……。コミカルな前半から一転、緊迫の後半へと転換するテンポも絶妙なスピード感あふれる作品。つか色が強く前面に出ている。
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遊び
制作年:
増村保造監督による、野坂昭如の小説『心中弁天島』の映画化。町工場で働く貧しい少女とチンピラヤクザの少年が出会い、逃亡の果てに真実の愛をつかむまでをダイナミックに描く。デビューして間もない16歳の関根恵子の初々しい存在感が魅力。
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さらば愛しき大地
制作年:
「十九歳の地図」など、社会によって疎外され、反抗心をたぎらせた若者像を描き続ける柳町光男監督が、茨城県・鹿島地方の工業団地化を背景に、郷里の荒廃、人間の堕落していく姿を力強いタッチで描いた力作。映画の中で度々象徴的に現れる、風に立ち騒ぐ稲穂を捉えた田村正毅のカメラが美しい。当時問題になり始めた覚醒剤やジャパゆきさんの問題をしっかりと作品の中に取り込み、病める農村の風土的リアリティーを出すことに成功している。農業からダンプカーの運送屋に転業した幸雄は、仲間に勧められて覚醒剤に溺れていく。最愛の二人の息子が沼で水死したことから、幸雄はますます覚醒剤にのめり込み、幻覚の末、ついに愛人を殺す。
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火まつり
制作年:
柳町光男が、作家・中上健次の脚本を得て、自然と人間、そして神が織りなす日本の土着的な神話の世界と現実を融合させた野心作。北大路が演じる達男は、熊野で木こりを生業とする男で、自らを山の女神の恋人と称するように、自然の呼吸と一つになった人間である。彼には、妻と二人の子供がいるが、かつての女・基視子が東京から流れてきて再び関係を結ぶ。しかし、基視子は土地の男を騙して東京へ逃げ、達男は火まつりの夜に一家を猟銃で殺し、自らも死ぬ。達男が山で嵐にみまわれ、彼が木を愛撫するとそれがピタリとやむといった不可思議な現象が、劇中にはさまれ、文明と日本の精神的なバック・ボーンが渾然となった様子が、柳町独特の骨太なタッチで描かれる。
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われに撃つ用意あり READY TO SHOOT
制作年:
新宿・歌舞伎町を舞台に、ヤクザ絡みの犯罪に巻き込まれた元全共闘闘士の戦いを描いたハードボイルド・ロマン。郷田克彦はスナックのマスターで、20年間続けた店を閉めようとしている。閉店パーティーには全共闘当時の仲間が集まった。そこにもう一人珍客が到来。肉体関係を迫る戸田組組長を撃ち殺し、ヤクザと警察の両方に追われるヤン・メイランだ。郷田は彼女をかくまうが……。原田芳雄、桃井かおりが絶妙のコンビネーションを見せる最後の殴り込みシーンは、まさにこの二人ならでは。新宿の熱気を伝える、スローモーションを多用したカメラワークにも注目。
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土佐の一本釣り〈1980年〉
制作年:
土佐の荒海でカツオ船に乗る16歳の血気盛んな少年と、おとなしいが芯の強い少女の純愛物語を、一本釣り漁の生活の中に描いた青春映画の佳作。揺れる小舟の上でのキス・シーン、海中で泳ぎながら抱き合うシーンなどは、純愛ものの鏡。
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花物語
制作年:
太平洋戦争末期、食糧難のため多くの家がそれまでの花から野菜へと畑を転作、しかし、心から花を愛する女・ハマだけは花畑をかたくなに守った。そんななか食糧管理法が施行され、ハマの畑にも食物の栽培が義務付けられる。当時の実話に題材をとった田宮虎彦の『花』を原作にした心温まるドラマ。
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眠る男
制作年:
群馬県が人口200万人突破を記念して製作した静ひつな人間ドラマ。同県出身の小栗康平が監督に当たっている。韓国のアン・ソンギ、インドネシアのクリスティン・ハキムと国際的なキャスティングも話題を呼んだ。温泉“月の湯”の湧く山間の町・一筋町。その農家に、山から落ちて意識不明になった“眠る男”拓次がいた。同級生の上村は言葉を返すこともない拓次に語りかけるうち、山奥でひっそり暮らしていた老夫婦のことを思い出す。スナックで働くティアは、町になじむにつれ、少しずつ拓次のことを知っていく。やがて訪れる拓次の死。神社で能が演じられた日、ティアは山へと分け入る。空が白む頃、彼女と上村との出会いが待っていた。
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せんせい〈1989年〉
制作年:
“よい映画を作りたい”と松方・梅宮・山城らが共同出資で設立したプロジェクト、トム・ソーヤ企画の第1回作品。昔ながらの風情を残す東京・佃島。ウォーターフロント計画で廃校の危機に瀕している中学校を舞台に、型破りな先生と生徒の交流、下町特有の温かい人情などが描かれる。
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天使のはらわた 赤い教室
制作年:
ポルノ雑誌の編集者・村木は温泉町で見たブルー・フィルムの女、名美に惚れてしまう。実はそのフィルム、名美が昔、教室で強姦されて撮られたもの。忌まわしい過去を振り捨てようと、男を避けてラブホテルの受付嬢に身をやつす彼女に、村木は運命的な出会いをする。ところが、二人の逢い引きの約束は、村木が警察に引っ張られてご破算。事情を知らずに雨の公園で待ち続けた名美は、男への絶望を深めて奈落の底に堕ちていく……。行きずりの男とのわが身を削るような交情シーンを、カメラは粘りつくような長回しで捉え、女の転落への意志を描き出す。にっかつロマンポルノの一つの頂点をなす、激しくも切ない秀作。水原ゆう紀の捨て身の熱演や、赤らんだ人肌を不安定な構図で映し出す撮影も特筆もの。
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鬼畜
制作年:
「ゼロの焦点」や「砂の器」など多くのヒット作を生み出した名コンビ、松本清張=野村芳太郎による作品。印刷屋の主人がよその女に産ませた3人の子供を引き取ることになる。ところが、妻の冷たい仕打ちで赤ん坊が死に、追いつめられた男は東京タワーに娘を置き去りにし、残る長男を崖からつき落とすが……。切っても切ることのできない親と子の絆を衝撃的に描いた作品で、緒形拳がだらしのない父親を好演。またオールスター・キャストのなかにあって子役も印象的。緒形拳が娘を東京タワーに置きざりにして出てくると、夕景にそびえるタワーに灯がともるシーンは圧巻。
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ヨコハマBJブルース
制作年:
工藤栄一監督・松田優作主演によるハードボイルド・アクション。横浜のうらぶれたバーでブルースを歌う探偵BJが、麻薬取引に絡んだ暴力団の抗争に巻き込まれる。横浜ロケが効果をあげ、劇中で松田優作が数曲渋いノドを聞かせてくれる。
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蒲田行進曲〈1982年〉
制作年:
映画の花形スターと、その取り巻きの大部屋俳優のサド・マゾ的関係を軸に、スターの子を宿した落ち目の女優を交えた3人の奇妙な人間関係を、映画製作の内幕に絡めて描き出した人情喜劇の傑作。原作および舞台の持つ毒は薄められたが、映画は独自の辛口のコメディとして成功し、各映画賞を独占した。花形スターの銀四郎は、妊娠した恋人の女優・小夏を彼の取り巻きの一人・ヤスに押しつけ結婚させてしまう。ヤスは危険を顧りみず生活費のためスタントマンをやるが、生傷がたえない。松坂が二人の間で揺れ動く女心を好演し、見事なヒロインぶりを見せた。カツドウ屋たちの心意気を感じさせる力作。
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