松岡充、“答え”求め続ける中で出会った運命的な役「僕自身の軌跡や苦悩が完璧にシンクロ」
――キャストにも魅力的な実力派がそろっている印象です。
松岡:このキャストじゃないと無理だな、と正直に思いました。キャストの皆さんも、簡単には手に入らない、努力と実力に裏打ちされたスキルと表現力を持っていますが、そんな精鋭が「マルチ」という立ち位置を担ってくださっています。とても心強いです。
「マルチ」というポジションは、韓国ミュージカルでは珍しくありませんが、日本の演劇界ではあまり見られないですし、相当な経験値と資質がなければできません。例えば、ソロ曲があるのは僕が演じるネブラとスアくらいで、僕自身も、誰かと一緒に歌う形がほとんどです。主役を張れるようなキャリアのある俳優陣が、なぜこのポジションを? と思われるかもしれません。それくらい、僕がこれまでやってきたミュージカルの中でも、ここまで贅沢な構成は初めてですね。
誰が何曲を歌う、などではなく、マルチという特殊かつ本当に考え抜かれた構成こそが、この作品の挑戦であり、大きな魅力です。きっと、このカンパニーにこれだけのキャストが集まることができたのは、それだけ作品の力と、新しい可能性に、意味を感じ取ったからではないでしょうか。
――今回は、上演台本・訳詞・演出をシライケイタさんが手掛けます。シライさんとのクリエイションに、どんな予感がありますか。
松岡:シライさんとは今回初めてですが、すごく大好きになりました。演出家というのは、非常に特殊な職業だと思います。主人公やヒロイン、特定の誰かの気持ちになりすぎることなく、その世界を“神の目線”で見ておかないと、全体が崩れてしまう。全キャストの感情が自分の中にあるような状態を作らなければならないんです。
だからこそ、強い信念をただ伝えるだけでなく、円滑に進めるためのコミュニケーション能力や相手への気遣い、そして何より、役者の能力や特性を見極める手腕が求められます。追い込んだほうが活きる人もいますが、ダメになる人もいる中で、そのあたりの見極めが本当にすばらしいと感じています。僕自身も、30数年SOPHIAというバンドを演出してきたと思っているので、その難しさは分かるつもりです。ただ、バンドのメンバーは幼なじみみたいな間柄だし、長年僕らのファンでいてくれている人が応援してくれている。その都度カンパニーが作られて、いろいろな方が集まる演劇の演出とは違うものではあるので一概に同じとは言えませんが。シライさんはご自身も役者であり、脚本も書かれる方だからこそ、いろいろな角度から演出をとらえることができる。稽古を経て、総合力の高さを感じていますね。
■「松岡充をやめてしまおう」かと思った過去――求め続ける“答え”
【公演概要】
ミュージカル『SHOWMAN~4番目の影武者』
9月1日(火)~9月13日(日)全17公演
新国立劇場小劇場
【出演】
松岡充 潤花 藤岡正明 万里紗 福井晶一 福室莉音
【脚本・作詞】
ハン・ジョンソク
【作曲】
イ・ソニョン
【翻訳】
宋元燮
【上演台本・訳詞・演出】
シライケイタ
【音楽監督】
国広和毅
【演奏】
前田涼子(Pf)、国広和毅(Key)、熊谷太輔(Perc)、大野萌子(Trp)、磯部舞子(Vn)、島津由美/平井麻奈美(Vc)
【スタッフ】
振付・ステージング:木下菜津子
美術:長田佳代子
照明:横原由祐
衣裳:半田悦子
音響:岡田 悠
ヘアメイク:田中エミ
演出助手:有坂美紀
稽古ピアノ:前田涼子
舞台監督:川除学
票券:サンライズプロモーション
制作:横井佑輔、大友泉
プロデューサー:宋元燮、石橋千尋