「神が人間宣言を出した世界」で盛隆二&太田緑ロランス&入手杏奈はどう生きる?/劇団papercraft『神のみぞ知る死』インタビュー
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新進気鋭の劇作家・演出家として注目を集める海路(みろ)が主宰を務める、劇団papercraftによる新作公演『神のみぞ知る死』が、9月6日より東京・シアタートラムにて上演される。SFと不条理が混在した奇妙な世界が現代口語で紡ぎ出されていくことで、物語が進むにつれ観ている側の現実と虚構の境界が曖昧になってゆく作品を多く手掛ける海路。新作は「神が人間宣言を出した世界」で恋人が死神だった女性を描いた作品だ。実は神は実体を持った人間であると神々がカミングアウトを始めたことをきっかけに、人間は神と共生することを意識するようになり始める、という物語が展開される。今回の出演者で、劇団papercraftおよび海路作品への参加は初となる、盛隆二と太田緑ロランス、そして2024年の劇団公演『空夢』に出演した入手杏奈に、作品へ挑む思いを聞いた。
【写真】『神のみぞ知る死』への思いを語る盛隆二&太田緑ロランス&入手杏奈
【写真】『神のみぞ知る死』への思いを語る盛隆二&太田緑ロランス&入手杏奈
――盛さんと太田さんは劇団papercraftの公演には初めての出演ですが、これまで海路さんの作品はご覧になったことはありましたか。
盛:僕は観たことありました。不思議な話だな、という印象がまずあって、その不思議な中で、物語が日常の会話として進んで行くのが面白いな、と思いました。僕が所属している劇団も不思議な話をやることが多くて、具象よりは抽象の舞台セットの方が可能性が広がると思うので、その可能性にチャレンジしているところとか、共感する部分が多かったです。あと、すごく上から目線になってしまうんですけど、もっとやりようがあるのにな、というのも感じていました。内容はすごく面白いんだけど、「もったいないな」と思ってしまう部分もありました。だから今回参加できることになって、僕の感じたことや考えていることをいろいろ話したり、そこから一緒に考えたりしていけたらいいなと思っています。
太田:私は拝見したことがなかったので、今回のお話を頂いてから、映像で拝見しました。会話がテンポよく流れていく後ろで、すごく不穏な何かが起きている。その様子に、まるで世界が壊れていく音が地響きのように鳴っている印象を受けて、面白かったです。作品に非常に跳躍力を感じて、その世界観に興味を覚えましたし、自分の年下の世代の創り手の方と舞台作品でご一緒する機会があまりなかったので、オファーを頂いたことが素直にうれしくて、本作に参加させていただきたいと思いました。
――入手さんは『空夢』にご出演されましたが、その時の印象を教えてください。
入手:今回もそうなんですけど、派手な演出があるとかではなく、会話とかやりとりを大事に作るという印象がありました。稽古でも、会話のやりとりをメインに進めていたので、そういうところに集中できるのは、舞台に立つ人間としては非常にいい環境だなと思いました。
――今回の台本について、現段階での率直な感想をお聞かせください。
盛:死ぬことであるとか、すごく身近なものをテーマにしていて、神様という存在を「僕らはこれをどう見たらいいんでしょうね」と伝えている感じがします。作品全体的に「こういうことが起きてしまっているけれど、それって何なんですかね」いうことが書かれているような印象を受けました。「神様」って結構気軽に頼ることが多いじゃないですか。「神様お願いします!」とかって口にしたり。でも、「神様」って実際なんなんでしょうね?ということが描かれているのかな、と思ったりします。
太田:この作品に描かれている「神」はすごく日本的な神様で、絶対的な存在ではなくて、実はすごく無力な私たちの日常と地続きにある「八百万の」神様、というところがとても面白いなと思いました。「神」と、「民」と呼ばれる人間との間に分断が起こるんですが、何かで区分して対立構造を作るということは、ここ何年も現実に起きていることで、自分たちの生活と紐づけて、具体的に想像できるテーマだと思いました。「神」と「民」の立場が状況によって揺れ動いたりする展開もすごく面白くて、いろいろ考えさせられます。
入手:「神」というと、目には見えないけど、祈ったりすがったり、心が動かされるものだな、と思っています。日本は宗教に対する温度差が人によって違う気がしていて、どこかタブーな話題のように感じられて、あまり気軽には会話に出てこないじゃないですか。「神」には崇高なイメージがあるのに、昨今は宗教に絡んだ事件も起きてしまっていて、実は人間のダークな部分と隣り合わせの紙一重な感じがしています。本作もそんな狭間にいる人々が描かれていて、「神」とか「死神」とかが人に与える影響の大きさみたいなものを感じながら読みました。
◆「一緒にいると相手が死んでしまうかも」――自分がもし死神だったらどうする?
【公演概要】
劇団papercraft第13回公演『神のみぞ知る死』
9月6日~13日:東京・シアタートラム
◆作・演出
海路
◆出演
福田麻由子
朝田淳弥
盛隆二(イキウメ)
村上航(猫のホテル)
太田緑ロランス
入手杏奈
櫻井健人
【公式サイト】https://gekidan-papercraft.amebaownd.com/posts/58932126