「神が人間宣言を出した世界」で盛隆二&太田緑ロランス&入手杏奈はどう生きる?/劇団papercraft『神のみぞ知る死』インタビュー
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――本作の中で、自分と一緒にいると相手が死んでしまうかもしれないから恋人と別れるべきか、と死神が悩むという描写が出てきますが、自分がもし死神だとしたらどうすると思いますか。
盛:きっと「まあ、大丈夫だろう」とそのまま一緒にいると思います。恋愛してる最中ってエネルギーがすごいから、無敵感があって「俺とだったら死なない」と考えちゃうと思います。それで結局恋人が死んじゃったら「あ、バカだな俺」ってものすごく後悔する、みたいな感じかもしれないです。結構そういう「なんであのとき、あんなことしちゃったんだろう」と反省しながら生きてるタイプなので(笑)。
太田:私は「ダメだダメだ」と言いながら、一緒にいてしまうかもしれません。家族だったら「離れる」と苦渋の決断をすると思うのですが、恋愛だと割と自分のエゴが強く出てしまうと思うので、「もう別れる、もう会わない」と言いながら、また会っちゃったりするのかな、と思いました。
入手:私は盛さんと一緒かな。「大丈夫じゃない?」って思い込む感じで。他の死神に殺されてしまうくらいだったら、私が引き受けます、みたいな。
盛&太田:あーーー! なるほど!
盛:すごい! それいいな。
太田:なんか、武士みたいですね、かっこいい。
――台本を読んで、小説を書いている登場人物が「自分がどういう人間か分かれば小説が書けるのに」と言うところが非常に印象に残りました。こういう感覚というのは、俳優にも共感する部分はあるものなのでしょうか。
盛:お仕事をするという面では、自分がどういう人間かは理解していた方がいいと思います。でも俳優として役と向き合ったときは、「自分はこういう人間です」と思わない方がいいと思います。例えばアメリカ人の役をやるときに、「いや、俺は日本人だから」という意識が出てしまうと、障壁になると思います。でも、何を支えにして舞台に立っていればいいのか理解ができていないと、自分で自分を支えるために、自分を持っていないと舞台に立っていられないんですよね。舞台経験を積んでいく、あるいは年齢を重ねて行くことで、支えをどこに見い出すか、もしかしたら支えなんかなくたって舞台上に立っていられるかもしれない、という可能性にも気づけるようになって、そうすると今度は、自分というものがどれだけいらないか、と思えるようになってくるんです。俳優は、自分がなければないほど、何にでもなれるじゃないですか。
太田:深いですね。芝居に限った話ではないんですが、自分のことって、理解しているようで、「え、自分こんなことしちゃうんだ!」とか、自分でも知らなかった自分がどんどん更新されていくし、そうやって発見していくのが人生だと思っています。だから、芝居で役を演じることによって、自分が耕されていくという感覚なのかもしれない、と今の盛さんの話を聞いて思いました。役を演じるためには、まずは役と自分の違いを認識しなければならなくて、その中で自分が耕されていって、アップデートされる部分もあって、自分が多面的で複雑になっていく感じがします。最終的には、本番までに自分をどんどん手放せるようになって、役と自分の違いに対して無意識でいられるようになっていけば、役の形になれていくような感覚です。
入手:すごく難しいですね。自分を理解するっていう感覚が、そもそもあんまり自分にない気がしています。私の感覚としては、自分なんてなくて、好きなものとか、出会ってきた人とか、いろんなものが継ぎはぎされて今の自分がいる感じがするんです。だから、今回こうして作品に参加して皆さんに出会って、またいろんな継ぎはぎをもらって、自分が更新されていくという感覚です。いろんな影響をどんどん受けることができるように、基本的には筒のような状態でいられたらいいな、と思っています。私の場合は「自分はこう」というのがあまり強くなってしまうと、みんなで作っていくところに一個フィルターがかかってしまう気がするので、なるべく皆さんから影響をたくさん受けて、変化していくことを恐れずにいたいな、と思います。
――お客様へのメッセージをお願いします!
盛:主人公の女性がどう成長するかの話になっていますので、自分が今何かに悩んでいたり、漠然とした不安をもし抱えていたりしたら、すごく力になる作品なんじゃないかなと思います。悩んだり迷ったりしている方の背中をちょっとだけ、いい方向にちゃんと押してあげられる作品になるんじゃないかと思うので、観ていただいて損はないと思います。きっといい体験になると思います。
太田:盛さんもおっしゃった漠然とした不安、というのは海路さんも初日にキーワードとしてお話しされていて、それは世代も性別も関係なく、今の日本で生きていたら、割とみんなが陥りやすい闇のような感じもしています。私はこの作品を観た人がどういう感想を持つのか、今は全く想像がついていません。号泣する人もいるかもしれないし、怒る人もいるかもしれないし、大笑いする人もいるかもしれない。誰に感情移入するかも人それぞれだと思いますし、すごく得体が知れないというか、他であまり見ないというか、すごく懐が深い作品だと思うので、ぜひいらしてください。そして、ぜひ感想を聞かせてください!
入手:お芝居を観る時って、観る人間がどういう状態か、もっと言えばどんな人生を歩んできたかで受け取り方が変わると思うので、この作品を最後まで観てもらったときに、劇場がどういう空気になるんだろう、とドキドキします。ラストだけじゃなくて、そこまでのそれぞれのやり取りだったり、人間関係みたいなものを丁寧に紡げたらいいなと思いますし、何か派手な演出があるような作品ではないんですけど、いい意味で上質な暗い不穏な作品になるんじゃないかなと思います。観客の体温に響いて、肌に届くような作品になったらいいなと思いますし、私たちもそういう状態でお芝居ができたらいいな、と思います。
(取材・文:久田絢子)
劇団papercraft 第13回公演『神のみぞ知る死』は、9月6日~13日東京・シアタートラムにて上演。
【公演概要】
劇団papercraft第13回公演『神のみぞ知る死』
9月6日~13日:東京・シアタートラム
◆作・演出
海路
◆出演
福田麻由子
朝田淳弥
盛隆二(イキウメ)
村上航(猫のホテル)
太田緑ロランス
入手杏奈
櫻井健人
【公式サイト】https://gekidan-papercraft.amebaownd.com/posts/58932126