東出昌大×栗原英雄『ハムレット、冬の旅』上演決定 シェイクスピアとシューベルトの名作を重ね人間の「喪失」と「彷徨」描く
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◆松本隆(日本語訳詞)
30年ほど前に初めてシューベルトの『冬の旅』に日本語の詞をつけたとき、目指したのは翻訳や対訳ではなく、日本語としてすっと頭に入り、心ですぐに反応できる歌にすることでした。
『冬の旅』は、絶望の物語です。けれど、絶望というのは決して醜いものではなく、意外といいものであり、深く、美しいもの。今の日本の『冬』のような時代を生き抜くためにこそ、そういう徹底した美意識が必要なんじゃないかと思っています。
◆河合祥一郎(台本監修)
シューベルトの『冬の旅』が、こんなにも『ハムレット』とぴたりと重なるなんて、驚きです! シューベルトを通して見ると、ハムレットはどんな新たな顔を見せてくれるのでしょうか?
東出昌大さんのハムレットに大きな期待が高まります。首藤康之さんの演出・振付で、栗原英雄さんの歌唱と重なりあい、新たな化学反応を経たハムレットの誕生に立ち会えるとは! 今からとてもワクワクしています!!
◆首藤康之(振付・演出)
もともとシューベルトの『冬の旅』は多くの振付家が舞踊作品として発表しており、楽曲自体はよく存じ上げていました。ただ松本隆さんの訳詞があることは全く知らなくて。それを読んだ時、また別の感動が湧き出てくるような感覚がありました。やはり言葉というのはとても雄弁ですし、この詞の中に松本さんの人生観すら感じる。今回はとにかくこの言葉を大切に。ただ言葉を直接舞踊にするというのは、すごくナンセンスなことだと思うので、東出昌大さんと栗原英雄さんが演じるふたりの“心の旅”と言いますか。その内面を、ダンサーたちの身体で表せたらいいなと思っています。僕がこの作品で一番伝えたいと思っているのは、“生と死”というのは絶対にひとりのものではない、ということです。もちろん人というのはひとりで生まれ、ひとりで死んでいくものですが、生きる人がいるから死ぬ人がいて、その逆も然り。それをハムレットと作曲家のふたりは、劇中で共感していくのではないかなと。その上でどんなことがあっても前に進んでいくことが本当の強さであり、美しさである。そういったものが作品を通して見えてくればいいなと。ぜひお客様には自分自身の内面の旅をする友達を、この作品から見つけていただけたら嬉しいです。
◆東出昌大
シューベルトの『冬の旅』と、松本隆さんの訳詞、そして首藤康之さんの演出。それを聞いた時、私自身全く観たことがない、やったことがない舞台が現出されるんだろうなと思いました。そんなプロジェクトに携われるなら、ぜひやりたいなと。なによりプロデューサーのおふたりが、この世界の先輩として心から尊敬する、常に本物を追い求めている方々なんですね。であるならば、自分がハムレットになる、ということにも本物を求められている。この作品の軸になるようなパフォーマンスをしなければ、と思いを新たにしています。ただやること自体は難しいですが、僕の中では単純明快。とにかくいいものを作るんだという気持ちですし、このおふたりに声をかけてもらった以上はただやるだけ。「To be, or not to be」ではなく、「To be, or to be」ですね(笑)。そして本物という点では、共演の栗原英雄さんはもう圧倒的な本物。その圧倒的なパフォーマンスの風圧によろめいているようでは全く意味がないので、僕は僕で青二才なりの本物を求めつつ、共に上がっていけたらいいなという気持ちです。非常に魅力あふれる、今までに観たことがない舞台表現になると思います。ぜひ劇場に足をお運びください。
◆栗原英雄
非常にチャレンジングな企画だと思いましたが、最初は頭の中が「?」でいっぱいでした。シューベルトの『冬の旅』に、松本隆さんの訳詞が加わり、さらにシェイクスピアの『ハムレット』も絡んでくる。僕が歌う曲数もかなり多かったので、「これは無理ではないか……」というのが正直なところでした。でも実際にやれたら絶対に面白くなると思いましたし、僕にとっても非常に大きなチャレンジ。チャレンジというのは大概苦しいものですが、楽にやれるものなんてつまらないですから。どうすればこの作曲家の生の声として、彼が抱えている苦悩や悲しみを、音楽に乗せて表現することができるのか。非常に難しい課題だとはいますが、これからの稽古で掴んでいけたらと思っています。東出昌大さんとは初めてご一緒しますが、彼がハムレットをやると聞いてすごくしっくりきました。近年では珍しい、二枚目ではなく“一枚目”の俳優さん。その場にスッと立っているだけで、その人物になれるというか。小賢しいことをせずとも。逆に僕は、そちらをやらなくてはいけないのかもしれませんが……(笑)。観客の皆さんを不思議な世界へとお連れしたいと思います。ぜひ僕たちと一緒に楽しみましょう。
【公演概要】
『ハムレット、冬の旅 HAMLET’S WINTER』
11月20日~30日:東京・新国立劇場 小劇場
12月12日・13日:大阪・サンケイホールブリーゼ
◆原作
ウィリアム・シェイクスピア 「ハムレット」
(河合祥一郎訳 増補改訂版 新訳「ハムレット」 角川文庫)より
◆作曲
フランツ・シューベルト
◆作詞
ヴィルヘルム・ミュラー
◆訳詞
松本 隆
◆台本監修
河合祥一郎
◆演出・振付
首藤康之
◆音楽監督・演奏
斎藤 龍
◆出演
東出昌大
栗原英雄
渡辺理恵
高橋慈生
松野乃知
【公式サイト】https://tspnet.co.jp/hamletfuyu/