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〈高橋ヨシキの最狂映画列伝〉Vol.3 恐怖と混沌の地獄めぐり! 『ジェイコブス・ラダー』は地獄映画界のトップランナー

映画

■地獄映画の系譜

 地獄というファンタジーは、映画の黎明期から盛んに映像化されてきた光景である。メリエスの『地獄のファウスト』(1903)に始まり、1911年、そして1924年に映像化された『ダンテ地獄篇』、マチステもの『マチステの地獄征伐』(1925)、悪魔=魔女映画の決定版『HAXAN 魔女』(1922)……ミュージカル映画『Hellzapoppin’』(1941)も忘れるわけにはいかない。さらに『センチネル』(1977)、『ブラックホール』(1979)、ルチオ・フルチの『ビヨンド』(1981)、『奇跡の輝き』(1998)、オラフ・イッテンバッハの『ビヨンド・ザ・リミット』(2003)、『コンスタンティン』(2005)、『地下に潜む怪人』(2014)、『ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティー』(2015 それにしてもこの邦題はなんとかならなかったのか)、ラース・フォン・トリアー『ハウス・ジャック・ビルト』(2018)……印象的な地獄映画のリストはまだまだ続く。カートゥーン的な表現で地獄を描いた『地獄のハイウェイ』(1991)、『ビルとテッドの地獄旅行』(1991)、『スポーン』(1997)、『サウスパーク/無修正映画版』(1999)、『リトル★ニッキー』(2000)に『ドライブ・アングリー3D』(2010)etc, etc。ここではスペクタクル的に地獄のランドスケープを映し出した映画を中心に挙げているが、パーソナルな地獄や、地獄としての異次元を描いた作品なども加えたらリストは長大なものになるだろう。

『ジェイコブス・ラダー』(1990) 写真提供:AFLO
 筆者はライフワーク(の一つ)として悪魔映画の歴史を追っているが、地獄を描いた映画もまた探求しがいのある豊かで広いジャンルである。モダンでありながら伝統的で、斬新なビジュアルを示しつつ地獄の本質――肉体的苦痛と「不気味なもの」への恐れ――を見事に活写した『ジェイコブス・ラダー』はそんな地獄映画界にあって今なお孤高の輝きを放っているのである。

<高橋ヨシキ>1969年生まれ。早稲田大学第一文学部中退・復学のち除籍。雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどメディアを横断して映画評論活動を展開。著書に、『悪魔が憐れむ歌』(洋泉社)シリーズ、『高橋ヨシキのシネマストリップ』(スモール出版)シリーズ、『暗黒ディズニー入門』(コア新書)、『高橋ヨシキのサタニック人生相談』(スモール出版)など。8月26日より、長編監督デビュー作『激怒』の公開が控える。

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