『silent』感動系もグサグサ系も 心に刺さる名セリフ3選
感動系だけでなく、ドキリとさせる言葉も多く登場してきた本作。中でも風間俊介演じる手話講師の春尾が貴重な存在となっている。第1話で、想の妹・萌(桜田ひより)との会話から、想の耳が聞こえなくなったことを知った湊斗が、ひとりで居酒屋に訪れた際に春尾と出会った。春尾が手話教室の講師であると知り、「なんか、人が良さそうですもんね」と漏らした湊斗に、春尾は「そういう刷り込みがあるんですよ。偏見っていうか」と切り込んでいく。そして「手話。耳が聞こえない。障がい者。それに携わる仕事。奉仕の心。優しい。思いやりがある。絶対いい人なんだろうなって勝手に思い込むんですよ。ヘラヘラ生きている聴者の皆さんは」と、私たちが普段、無意識に少なからず偏見を抱いて生きていることを突いてみせ、さまざまなことを経験してきたであろう春尾のことをもっと知りたいと思わせた。
第4話の中盤では、聴覚障がい者であり、手話教室の同僚でもある講師から「春尾くん、僕たちにちょっと壁をつくるよね」と言われ、「特別扱いはもちろん違うし、ただ平等に接することが正解だとも思わないんです。手話ができるってだけで、分かった気になりたくないんです。どうしたって僕は聞こえるので、ろう者同士みたいに分かり合えないです」と応じた春尾。偽善で取り繕わない春尾に共感した人は多いだろうが、同時に、“分かり合えない”で終わらせてしまっていいのだろうか、とも思う。その先にあるつながりへの希望を感じさせるのが、紬の存在だ。