クランクイン!

  • クランクイン!ビデオ
  • クラインイン!コミック
  • クラインイン!トレンド

  • ウェブ全体を検索
  • このサイト内を検索

『M-1グランプリ』2001年の第1回を見てみたら…松本人志ら「審査員」は実は優しかった

エンタメ

■ 伝説の「おぎやはぎ9点」の衝撃

 現行の『M-1』と第1回を比べてみて最も大きな違いは、審査方式だろう。第1回では一般審査票を導入。札幌、大阪、福岡の3拠点で各100人の一般審査員が大会を見守り、1人1票の100点満点で採点した。

 会場の紳助さんら特別審査員7人の持ち点が各100点で計700点のため、一般審査票300点は3割を占めるバカにならない配分となる。この採点方式の一番の”被害者”は、おぎやはぎだろう。独特の間で繰り広げられる2人の漫才は、当時の一般視聴者には全く受け入れられず、札幌で22点、福岡で12点、大阪で一桁の9点とさんたんたる結果に。これでは勝負になるわけもなく、彼らは『M-1』の初代最下位に沈んでしまったが、今では本人たちも笑い話に変えている。なお、一般審査票は第2回大会以降、導入されていない。

 また、第1回は優勝が決定するファイナルラウンドの方式も異なる。現在では1stラウンドの上位3組の三つ巴が定着したが、第1回は1位と2位の一騎打ち。さらに、審査員の投票方法も今のように左から1人ずつ投票した出場者名がめくられていくわけではなく、たったいまネタを披露したばかりの2組が見守る前で、審査員が1人ずつどちらが面白かったかをボタンを押していくというもの。少し気まずくもあるこの方式には、松本も「あ、押していくんですか!? キッツいなあ!」と声をあげていた。

■ 第1回は本当に殺伐としていたのか?

 『M-1』に関してはよく「第1回の『M-1』は殺伐としていた」「松本ら審査員が怖かった」と回想をする人がいるが、少なくとも第1回に関しては見返してみると拍子抜けする。

 それもそのはず、第1回には審査員がネタにコメントをする時間がもうけられていなかった。厳しくなりようがないのだ。ネタが終わると点数が発表され、順位が発表され、出場者が一言二言コメントを求められたあと、舞台袖へはけていくという淡白な段取りだった。のちにさまざまなドラマを生むことになる審査員コメントは第2回以降から始まる。コメントに関していえば、近年の大会の審査員の方がよっぽど厳しい。

 松本に関しても、点数こそ50点台、60点台を連発してほかの審査員より厳しめだが、それは彼の漫才に対する要求水準が高かったからこそ。出場者に厳しい毒舌を投げかけるような瞬間はない。DonDokoDonのネタに、大阪の一般人票がわずか18点という厳しい点数をつけた際には「大阪の客、頭おかしいんちゃいますか?」と疑問を呈すなど、むしろ出場者をかばうような一幕もあった。

 そのほかの審査員もみな、産声をあげたばかりの『M-1』というイベントが無事に終わるように、どこか優しく見守るような雰囲気があり、「第1回は審査員が厳しかった」というイメージは覆される。

 下馬評通り、中川家の優勝で幕を閉じた『M-1』第1回。期待に応えられた中川家の礼二の目には涙が浮かび、審査員の面々にも、無事にコンテストが終わったことへの安堵(ど)の表情がみてとれる。コンテストによって競争が生まれ、競争が発展を生んだ。これ以降、『M-1』を中心にして漫才文化は飛躍的な進化をとげる。そういう意味で、『M-1』第1回の功績は計り知れない。

2ページ(全2ページ中)

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る