『R‐1グランプリ』2002年の第1回を見てみたら…だいたひかるが超トガっていた!
■ 超トガッているだいたひかる!
最終出番で登場したのは、当時フリーで活動していただいたひかる。彼女も陣内と同じくのちに『エンタ』で活躍することになるが、当時からすでにトガりまくっていた。
「余計なお世話ですが」を枕詞に「プレイボーイを読んでいる人にプレイボーイはいない」「プリンセス天功は何よりもあのメイクがイリュージョン」「ジャニーズ事務所にも失敗作はある」。さらに「どうでもいいですよ♪」と口ずさみながら「ロッテ対日本ハム」と発して爆笑をかっさらっていたところには、パ・リーグの人気に火が付く前の時代を感じさせる。
おそらく現在の注目度が高まった大会で、さらにSNSなどの普及した視聴環境の中で披露すれば、1フレーズ1フレーズがSNSをざわつかせるような過激なラインナップで、他の出場者同様にウケてはいるが、一際異彩を放っていた。
■ 拍子抜けするぐらいシンプルな優勝決定方法
『M‐1』や『キングオブコント』(TBS系)でも毎年のように試行錯誤がなされている勝敗決定システムや優勝決定システムだが、第1回の『R‐1』はこの上ないほどシンプル。予選と決勝の区分がなく、出場者12名がネタを披露するのは一度きり。それを浜村淳ら審査員が別室で審査する。浜村が「小ネタの集積、そして身近にあって共感を生むものが多かった」などと真剣に議論を繰り広げる模様も一部放送された。
議論の結果、第1回で優勝したのはだいたひかるだった。どこの事務所にも所属せず、フリーの立場で優勝したのは彼女が最初で最後。マイクを向けられただいたは「興奮しますね。今年一番のテンションですよホント」と冷静に述べて会場の笑いを誘っていた。
優勝者のその後の活躍でたびたび『M‐1』と比較され、ついには『M‐1』決勝の舞台で「夢がない」とイジられてしまった『R‐1』。しかし、お笑いには常に逆境が力になる瞬間がある。筆者はそれがお笑いの素晴らしさだと考えている。お笑いコンビでも「じゃない方」だった相方が、突如ブレイクしていく例がこれまで何度あっただろう。注目度が高いのは『M‐1』かもしれないが、実はお笑い的に「おいしい」のは『R‐1』の方なのだ。「じゃない方」であった『R‐1』、その逆境をはねのけ、いや、力に変えて大ブレイクする新王者が今夜誕生するかもしれない。(文・前田祐介)