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映画『カラオケ行こ!』が原作ファンにも超好評なワケとは? “映画オリジナル”なシーンを深掘り

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■「紅」の“大阪弁訳”が2人の関係をエモくする


(C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会
 本作のキーとなる曲、「紅」(X JAPAN)。原作でももちろん大切な曲ではあるが、映画ではこの曲の解釈をより深掘りしており、結果的にこの映画の軸となっているといっても過言ではない。

 「紅」は、狂児が組のカラオケ大会で披露しようと練習している曲なのだが、高音ボイスを出すための裏声を聡実くんに「気持ち悪い」と一蹴されてしまう。聡実くんは狂児の音域に合う曲をたくさん見つけてくる(健気すぎる)も、狂児はなぜか「紅」にこだわる。

 「紅だーーー!!!」というシャウトが有名だが(作中では綾野剛のシャウトも何度も堪能できる)、ポイントとなるのはその前のなんだかメロウな英語の歌詞。映画では、この部分を聡実くんが日本語、いや大阪弁に翻訳。“紅”の意味が狂児と聡実くんに刻まれるのだ。

 この“大阪弁訳”が狂児と聡実くんの関係にここまで嵌まるとは。クライマックスでは、狂児に起きた事件によって聡実の心が“紅”に染まる。そして、ヤクザカラオケ大会に乱入した聡実くんのこん身の歌唱につながっていく。筆者は特にX JAPAN世代とかではないのだが、正直「紅」に泣かされるとは思わなかった。原作でも聡実くんの「紅」歌唱シーンはあるが、聡実くんこと撮影時自身も中学生だった齋藤の歌声がよりグッとくる。北村一輝演じる組長の涙も、原作以上にアツいものがあった。

(C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会
 今回の映画化では、“巻き戻せない青春”が描き出されていた。“実写化”の在り方について議論が尽きない昨今だが、本映画が原作ファンからも好評を得ているのはそのバランス感覚の秀逸さによるのだと思う。青春度こそ高まってはいたが、和山やまが作り出す“低体温な笑い”はしっかりと表現され、鑑賞後には原作の読後感と同じ感覚すら覚えた。『カラオケ行こ!』続編である『ファミレス行こ。』がもしもいつか実写化されることがあれば、また同じ布陣での製作を期待せずにはいられない。(文:小島萌寧)

 映画『カラオケ行こ!』はレンタル配信中。

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