『国宝』旋風吹き荒れる! 今更聞けない「人間国宝」って何? 映画から文化を覗く
映画『国宝』が描いたように、歌舞伎の世界には今なお“本物の伝統”を体現する人間国宝たちがいる。その中から、特に注目すべき3名を紹介したい。
■坂東玉三郎(女形/2012年認定)
女形の絶対的王者。所作、視線、声の一音まで女性美に研ぎ澄まされた、まさに芸術家。「女形という枠を超える女形」として、国内外で観客を魅了し続けている。
■片岡仁左衛門(立役/2015年認定)
上方歌舞伎の看板格。静謐(ひつ)さに色気をまとう“和事”の演技が圧巻で、柔らかな余韻を残す立役として幅広い世代に支持されている。若手との共演でも“架け橋”的役割を担う。
■中村吉右衛門(立役/2011年認定・2021年逝去)
“鬼平”で知られた演技の重鎮。荒事・和事両方で高い表現力を誇り、亡くなった今も「理想の歌舞伎役者」の象徴として語り継がれる存在。その存在感こそが、人間国宝という称号の意味を雄弁に示している。
映画だけじゃ終わらせない、“本物”との出会いを
映画『国宝』をきっかけに、人間国宝という称号に興味を持った人は少なくないだろう。スクリーンで感じた感動を、リアルで味わってほしい。音、光、空気、身体……次の扉は、すぐそばにある。
(文:新山楓子)