『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は“大人の可能性”を教えてくれた 鮎美&勝男のラストに「幸あれ!」
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その後、勝男は料理作りや、後輩の南川、白崎(前原瑞樹)との交流や椿(中条あやみ)といった新たな出会いを通じて、周囲も巻き込みながら、驚くほどに変化を遂げていった。もともと素直で前向きな男である。鮎美と2人だけだった世界から飛び出たあとの吸収力には、目覚ましいものがあった。
ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』最終話より(C)TBSスパークル/TBS
ただ、目に見える変化を遂げていった勝男に対し、30歳にして自分を模索中の鮎美の変化はゆっくりだった。だが第9話、結局詐欺ではあったものの、「考えるんじゃなくて、感じて。あなたが本当にやりたいことは頭じゃなくて心が知っているはず」という言葉に動かされ、会社を辞めて、飲食店をやろうと決意した。無謀にも思える決断だが、鮎美にとっては、自分を見つめて真にやりたいことを見つけ出した瞬間だった。
だからこそ、そのタイミングで勝男にあれこれアドバイスされるのは違った。勝男も、相手の気持ちを汲み取らなければと思うようになったことで、鮎美に「困っていない」と断られると、いけないことをしてしまったと落ち込んでしまう。鮎美を好きなだけに、このままでは、どんどんハレモノを触るような態度になってしまうだろう。相手を支えたい気持ちが強くなっている勝男と、ひとりで立とうとしている鮎美。しかも、勝男自身、仕事でうまくいかなくなっているのにも関わらず、復縁できたうれしさで、「鮎美を助けたい! 支えたい!」という気持ちが全面に出てしまった。2人は、明らかにギクシャクしていた。

