猿“たち”の快進撃が始まった『豊臣兄弟!』 フィクションならではの味付けで仲野太賀&池松壮亮が戦国駆ける
第2話では、農民として生きることを望んでいた小一郎が、修羅の道へ足を踏み入れざるを得なくなる悲劇が描かれ、仲野の演技力が爆発した。幼なじみ・直(白石聖)の祝言の日、村が野盗の襲撃を受け壊滅する。小一郎の機転で一度は危機を脱したかに見えたが、戦国の暴力は容赦なく彼らの平穏を奪い去った。
変わり果てた幼なじみを見つけたシーン。「なんじゃこれは。次から次へと。わしらが何をした? なんなんだこれは! あー!」。降りしきる雨の中、友の首を抱きながらの、泥にまみれた絶望の慟哭は、何も持たざる者が味わう無力感そのものを体現していた。
そこに「これがこの世じゃ」と藤吉郎が駆けつける。あまりに絶妙なタイミングに、最初は少し戸惑ったが、思い返すと、藤吉郎はその前に信長を心配する妹・市(宮﨑あおい)から「兄弟とは不思議なものよの。お互いのことをわかりたくなくてもわかってしまうことがある。なぜそうなるのか不思議じゃが。私がいま苦しいのは、たぶん兄上が苦しいからじゃ」という思いを聞いていた。その言葉に導かれるように、藤吉郎は村へとやってきたのだ。
絶望の淵にあった小一郎の背中を押したのは、母・なか(坂井真紀)の愛ある嘘と激励だった。「あんたらは、あのお天道様みたいにおなり」。この言葉を胸に、小一郎と藤吉郎は、祝言を抜け出し小一郎と生きると決めた直とともに、3人で村を出た。
■これまでにない「草履」エピソードが引き出した小一郎の機転と知恵
清須での新生活が始まり、物語が桶狭間へ向けて加速した。第3話で驚かされたのは、秀吉にまつわる逸話のひとつ「信長の草履」のエピソードだ。信長の草履を懐で温め、忠義心を見せたというこの話を、大胆に脚色。「父の仇の草履だと思って盗もうとした失敗談」とし、信長に問い詰められた際に、小一郎が機転を利かすという展開にしてみせた。
ここで小一郎は「鳶(とんび)が低く飛んでいる」ことから雨を予言。「濡らしてはいけないので懐に入れていた」とした。農民ならではの経験値予測が、単なる言い訳に終わらず、続く“桶狭間の闘い”の勝敗を決する伏線として機能していくのである。
信長の戦いへの準備も進んでいた。第3話の時点で佐久間盛重(金井浩人)は「織田はもはやこれまでじゃ」と口にしていたが、そうした動きは信長に筒抜けだった。さらに言えば、信長は『曽我物語』(仇討ちもの)の能に興じる姿をあえて盛重に見せ、裏切りへと誘導していたことが分かる。
松下洸平演じる松平元康(のちの家康)の初登場も鮮烈だった。兵糧入れの任務で見せた慎重さが「静かなる怪物」の風格を漂わせた。

