戸田恵梨香、代表作量産の20年――『地獄に堕ちるわよ』で"また"刻んだ必然
さて、現在配信中の『地獄に堕ちるわよ』である。タイトルそのものにもなっている「あんた、地獄に堕ちるわよ!」などの強烈フレーズを発し、正直、内容は知らなくても多くの人が耳にしたことのある六星占術と「大殺界」といったワードを浸透させた細木数子の半生を、「この物語は事実に基づいた虚構である」として放った全9話によるドラマだ。
Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』より
1946年の戦後の混乱期から始まる本作で、生きたミミズを口にして飢えを凌ぐほどの貧困の中で育った数子は、20代にして複数のナイトクラブを繁盛させ"銀座の女王"と呼ばれるまでに。多くの出会いや裏切りなどを重ねながら、自らの“欲”に従い突き進んでいく。戸田は、学生時代から白髪の混じる67歳までを一人で演じている。成長期の銀座をはじめとした、激動の時代を見事に再現したセットや衣装、人の感情を煽るような印象的な音楽をバックに、物語は現代と過去を行き来する。
17歳からキャバレーに勤め、身を捧げたオーナー(奥野瑛太)に騙されたことを知った時の怒り、大地主の息子(田村健太郎)に見初められるも、“嫁”でいることを強要されて東京へと戻った際の強烈な決別、不動産会社の社長(中島歩)との夢に心を寄せるが騙されたと知った絶望、ただひとり運命と言える相手(生田斗真)との出会い。また、日本を代表する大歌手・島倉千代子(三浦透子)との愛憎劇など、戸田は、観終わっても耳に残る高笑いや、話題になった口を触る数子のクセ、感情を爆発させる涙と、全身を使って数子を生きていく。
Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』より
6話までは数子自身の語る飾り立てられた半生を描き、7話以降は周囲の証言を基に、これまでが裏返る。善と悪、虚と実を入り乱れさせながら、数子に共感を求めるでもなければ、断罪もしない本作。けん引するのは、戸田の圧倒的な存在感だ。実際の細木数子のモノマネにする必要はないとした制作陣の判断は大成功だった。
もう一人の主人公とも言うべき作家の魚澄美乃里(伊藤沙莉)との、クライマックスの正面切っての直接対決では、はじめ監督とは違う演技プランだったと聞く。本編に収められた「それが細木数子よ!」と目を見開き叫ぶ姿は、これまでに多くの代表作を持つ戸田の、どの顔とも全く違った。戸田の"代表作"に、またひとつの作品が加わった。5月23日には、俳優の磯村勇斗が企画・プロデュースを務める「第1回しずおか映画祭」の壇上で、「死ぬまでこの仕事を続けたい」と口にした戸田。代表作年表は続く。
(文・望月ふみ)
Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』は、Netflixにて4月27日より世界独占配信。

