ラブコメ女王・桐谷美玲、“変顔”も魅力に転換するコメディエンヌの素質

ファッション誌では“ゆるカワ”系のカリスマモデルとして絶大な人気を誇り、報道番組ではキャスターとして知的な一面をのぞかせ、映画やドラマでは等身大の恋する女の子を演じて人気を集めている桐谷美玲。とりわけ女優としての活躍目覚ましく、今や“ラブコメ女王”の異名を持つまでに成長した桐谷のビジュアルだけにとどまらない魅力に迫る。
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桐谷が月9初主演を務めているドラマ『好きな人がいること』は、パティシエのヒロインがイケメン三兄弟とひと夏をシェアハウスで暮らし、恋模様を繰り広げる物語。恋愛がご無沙汰とは思えないキュートな美咲(桐谷)、オレ様キャラの二男・夏向(山崎賢人)、王子様然とした長男・千秋(三浦翔平)、プレイボーイの三男・冬真(野村周平)…まるで漫画から抜け出たような男女4人の王道ラブストーリーは、スタート前からファンの期待をかき立てた。
そして迎えた第1話。桐谷は笑顔を弾けさせたり、口をとがらせてむくれたり、切なさに顔を曇らせたりと、くるくる変貌する豊かな表情で美咲役を好演。さらに、夏向が美咲の両頬を親指と人差し指でむにゅっとつまんで“ひょっとこ顔”にしてからキスをする“むにキス”が話題になると、続く第2話の結婚披露宴シーンでも、桐谷はほっかむりと絣の着物、黒い鼻頭にお歯黒、繋がったゲジ眉、そばかすまみれの赤ほっぺの衝撃スタイルで“どじょうすくい踊り”に挑戦し、ファンの度肝を抜いてネットを騒がせた。
思い返せば、映画『女子ーズ』では、コメディの鬼才・福田雄一監督のもと、片手間に敵と戦う戦隊ヒーロー・レッドをコミカルに演じ、「新たな一面を見せられた」と喜んでいた桐谷。映画『ヒロイン失格』でも、ハゲヅラをかぶったり「もっとやりたかった」と名残惜しむほど変顔に嬉々として臨んだりしていた。アメリカの映画サイトTC Candlerによる「世界で最も美しい顔100人」ランキングに2012年から4年連続ランクインし、日本人として最高の8位に輝いたこともある美貌の持ち主とは思えない話だ。
しかし、ベースが良いだけに何をやっても許されてしまうどころか「カワイイ!」と高評価されるのが常。とはいえ、7年かけて大学を卒業した努力家の一面や、大阪で暮らすことで培われたサービス精神やざっくばらんな明るい基本性格があるからだろうか、どんなキャラクターやシーンであろうと前向きに挑む桐谷の姿にあざとさは微塵も感じられず、変顔やコミカルなアクションすべてが、作品における純粋かつ絶妙なアクセントに変貌する。台本通りに義務として笑わせようとしているのではなく、「自分が楽しみながら観ている者も喜ばせる」という理想の図式が自然と出来上がっているのだ。そんなコメディエンヌとしての素質は美しさ同様、桐谷が持つ天性の魅力なのかもしれない。(文:錦怜那)