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『犬鳴村』が14億円超ヒット! 『事故物件 恐い間取り』にも注目 Jホラーの現在地とは

映画

実在の心霊スポットを映画化した『犬鳴村』が興収14億円超えのヒット
実在の心霊スポットを映画化した『犬鳴村』が興収14億円超えのヒット(C)2020「犬鳴村」製作委員会

 『リング』『呪怨』が生んだJホラー一大ブームから早20年。Jホラー冬の時代と呼ばれ、両作に並ぶヒット作がなかなか生まれない中、今年2月に公開された清水崇監督の最新作『犬鳴村』が、興行収入14億円超え・動員110万人の快進撃を飛ばした。今、一体どんなホラーが観客を惹きつけるのか。古参のJホラーファンに加え、若いファン層の動員も狙い、製作陣は日夜試行錯誤を繰り広げている。時代が変わればヒットの生まれ方も変わる。Jホラーの現在地を探ってみたい。

【写真】顔が浮かび上がるポスターも話題に『犬鳴村』フォトギャラリー

●ネット発祥都市伝説の底力! 映画『犬鳴村』14億円ヒットの要因

 北九州最恐の怪奇地帯・犬鳴峠のトンネルの向こうには、迷い込むと二度と出られない異界の村が存在する。実在の心霊スポットから発生したインターネット怪談に基づく『犬鳴村』(2020)は、Jホラー冬の時代を吹き飛ばす興行収入14億円超えの大ヒットを記録。その要因は何といっても日本で最も有名な禁忌の土地「犬鳴村」の認知度にある。その奇妙な名前が気になったら検索一発、巷(ちまた)でささやかれる無数のおぞましい犬鳴伝説を知ることができる。“早い、安い、結構こわい”。これがネットの無料怪談の魅力、最大の利点だ。問題のトンネルに不気味な人の顔を重ねた秀逸な宣伝ポスター、戦慄シーンをかわいく加工した遊び心満点な「恐怖回避ばーじょん劇場版」の追加公開と、話題作りも確かに効いた。しかし、改めて驚かされるのは、やはり可視化されたネットの底力である。

●若い観客層がハマるYouTubeはホラー映画と相性抜群

 『呪怨』シリーズでJホラーを牽引した清水崇監督の『犬鳴村』は、呪われた一族の血筋と因果の物語だが、導入部は犬鳴峠に肝試しアタックをかける若い男女の自撮り動画で始まる。実際、大手動画サイトのYouTubeでは都市伝説・怪談系のコンテンツが非常に充実。その数の多さは目を見張るものがある。特に肝試しの生配信には固定の視聴者がつき、人気番組となっている。怖いものに対する若者の好奇心は、いつの時代も不変。テレビの怪しい心霊番組が減ったぶん、今の若年層にとっては、YouTubeこそが「リアル」な怪異との遭遇の場なのだ。そして犬鳴伝説も、映画化が発表される前からYouTubeの人気コンテンツあり、インターネット黎明期に流行った都市伝説でありながら、世代を超えた認知度は抜群。さらに、映画『犬鳴村』では全編に心霊スポットでの恐怖体験談の再現を散りばめ、肝試し感覚を追求。小中高生を中心とした観客の期待に応えたことも成功要因のひとつだろう。既に清水監督による「恐怖の村」シリーズ第2弾『樹海村』の製作も決定。この快進撃の行方が楽しみだ。

●Jホラー・ヒットの明暗を左右するカギは若い観客?

 一方、第22回日本ホラー小説大賞で、満場一致の大賞に輝いた澤村伊智の『ぼぎわんが、来る』を原作に、V6の岡田准一ら豪華キャストを配して映画化した中島哲也監督の『来る』(2018)は、意外にも劇場公開時の成績が振るわなかった1本だ。先日、Amazonプライムでの独占配信がスタート。SNSが「面白い!」と大絶賛コメントでにぎわうなど、作品自体のポテンシャルは高いが、忌まわしい怪物「ぼぎわん」をタイトルから外し、ホラー枠に収まらない宣伝を打った結果、映画の輪郭が曖昧になり、観客の興味を奪ってしまった。これが映画宣伝の難しいところだが、13億円規模のヒットを手繰り寄せるには、小説の知名度やコアなファン層を頼りにするだけでは足りないのかもしれない。無料エンタメを味方につけた『犬鳴村』のしたたかな成功に、そんなことを考えさせられる。振り返れば、世界的Jホラーブームの起爆剤となった『リング』(1998)から既に20余年。昔なじみの固定ファンのみならず、新たな観客をつかむこと。それが今後のホラーの命運を左右するひとつの課題なのだ。

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