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中止、酷評も…“呪われた企画”『デューン 砂の惑星』映画化へのあくなき挑戦

映画

“呪われた企画” 『デューン 砂の惑星』映画化の歩み(写真はデヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』)
“呪われた企画” 『デューン 砂の惑星』映画化の歩み(写真はデヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』) 写真提供:AFLO

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ

 アメリカのSF作家フランク・ハーバートによる長篇小説『デューン 砂の惑星』を映画化したドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作『DUNE/デューン 砂の惑星』が、ついに公開された。原作小説は、1963年から部分的に雑誌連載され、1965年に単行本化。SFファンだけでなく、幅広い読者から支持される人気作品になった。これほどのベストセラーを映画界が放っておくわけがなく、半世紀にわたって映像化の試みが繰り返されてきたが、時間を奪われ、失意のうちに去った関係者も多く、“呪われた企画”と呼ばれることもあった。

【写真】スティングらオールスター集結 デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』(1984)フォトギャラリー

●原作小説のおもしろさ

 そもそも『デューン 砂の惑星』という小説の何がそれほど魅力的なのか。まず、波瀾万丈の冒険、成長物語であり、宮廷陰謀劇としておもしろい。アレクサンドル・デュマの『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』を思わせる、講談調と言いたくなるような娯楽性があり、中学生の筆者が初めて読んだときにハマったのもこの面だった。

 SFとしての新しさは、謎多きエキゾチックな惑星を舞台にするだけでなく、その惑星環境が成立している理由自体を謎の中心に置いたことにある。これは自然環境を一つのシステムとして見る1960年代の新しい認識に合うものだった。ドラッグによる精神の拡大や、アラブ・イスラム世界と西欧の対立という現実の政治情勢が投影されていることも、この時代に合っていた。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ版『DUNE/デューン 砂の惑星』より (C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
 そのうえで、今なお大人になった筆者がおもしろいと思うのは、政治的なリーダーシップへの懐疑や、権力を濫用せずにはいられない人類への絶望が色濃く現れていること。このあたりは、作者ハーバートが首都ワシントンDCで上院議員のスタッフとして働いた経験から来ているというから根が深い。

 ちなみに、この1作で大成功を収めたハーバートは、その後、定期的に「デューン」シリーズの続篇を発表し、現在は全8作のシリーズとして完結している。

第1作『デューン 砂の惑星』 Dune (1965)
第2作『デューン 砂漠の救世主』 Dune Messiah (1969)
第3作『デューン 砂丘の子供たち』 Children of Dune (1976)
第4作『デューン 砂漠の神皇帝』 God Emperor of Dune (1981)
第5作『デューン 砂漠の異端者』 Heretics of Dune (1984)
第6作『デューン 砂丘の大聖堂』 Chapterhouse:Dune (1985)
第7作 Hunters of Dune (未訳) (2006)
第8作 Sandworms of Dune (未訳) (2007)

 第1~3作を初期三部作、第4~6作を後期三部作と呼ぶことがある。ハーバート自身は1986年に65歳で亡くなり、完結篇となる2作は、息子で作家のブライアン・ハーバートとSF作家ケヴィン・J・アンダースンが引き継いで完結させた。このコンビによって今も新作が書かれているので、シリーズは継続中でもある。

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