『最愛』最大のキーパーソン“大輝”松下洸平が視聴者を魅了する理由
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■“初恋の相手”から“疑惑の男”へと転じる意外性
これまで刑事という立場を超えて、梨央や弟の優(高橋文哉)のピンチを救ってきた大輝。梨央にとっての初恋の相手でもある大輝は、立場を顧みない献身的な言動で“梨央への愛”を伝え続けてきた。エピソードを重ねるごとに距離が縮まっていく梨央と大輝の姿に視聴者の間でもハッピーエンドを期待する熱が高まり、ネット上にも「大ちゃんと梨央は絶対に2人で幸せになってくれ…」「大ちゃんと梨央はよ結婚して」などの願いが次々と書き込まれる事態に。
しかし、10日放送の第9話ラストシーンから状況は一転。大輝は大学時代の後輩で刑事の藤井(岡山天音)から「15年前、あの台風の夜。本当は事件の現場におりましたよね?」と疑惑の目を向けられる。“15年前、あの台風の夜”とは、このドラマを巡るミステリーの発端となった大学院生失踪事件が発生した日のこと(大学院生はのちに殺害され死体が遺棄されていたことが判明)。
(C)TBS
第5話でこの事件の詳細が描かれ、梨央を暴行した大学院生と優が揉み合いになり、その拍子に大学院生が死亡したことや、その遺体を達雄が遺棄したことが明らかになっている。この第5話の放送直後から、ネット上には達雄を手助けした共犯者の存在を指摘する声が続々と寄せられることに。視聴者の間ではその共犯の候補として藤井や別れた妻・梓の名前が挙がっていた。
事件発生当時、大輝は姉の結婚式に出席するために現場にいなかったはず。藤井から疑惑の目を向けられた大輝は、これまでの穏やかな雰囲気から一変し、険しい表情に。ヒロインの初恋の人から“疑惑の男”へと転じてしまった大輝。第1話から積み上げられてきたイメージを、最終回目前で大胆に裏切ってみせる大輝というキャラクターの振れ幅の広さに、多くの視聴者が惹きつけられている。
■徹底した役作りに裏打ちされた絶妙なリアリティ
このドラマで視聴者を驚かせたのが、15年前の梨央と大輝を吉高と松下が演じたこと。特に大輝は大学陸上部で好成績を残すエース選手という設定。大輝役の松下は、青山学院大学陸上競技部監督の原晋の指導を仰いで陸上を猛特訓。青山学院大学を箱根駅伝4連覇に導いた原の元でトレーニングを積んだ松下は、劇中でもたびたび華麗な走りを披露している。
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また大輝の魅力を語る上で欠かせないのが第1話の“好きやよ”でも話題となった方言だ。相手を気遣うような柔らかなイントネーションと語尾の可愛さが特徴の岐阜の方言は、演じる松下の穏やかな雰囲気とも絶妙にマッチして、視聴者の心を鷲掴み。
東京都出身の松下は『スカーレット』で関西弁にも挑戦。劇中では兵庫県出身の戸田と見事な関西弁の掛け合いを演じていた。『スカーレット』で見せた方言との相性の良さが、『最愛』でもいかんなく発揮されている。松下の役作りが身のこなしや話し方の細部にも行き渡っているからこそ、画面の中の大輝に確かな説得力とリアリティが備わっている。
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最終回でこれまで以上の注目を集めることは間違いない松下。彼が演じる大輝がどんな結末を迎えるのか、最後まで心して見届けたい。(文:スズキヒロシ)
金曜ドラマ『最愛』最終回は、TBS系にて17日22時放送。