『カムカム』再登場・濱田マリ「私は素材ではなく調味料」 バイプレイヤーとしての心構え
――ご自身にもお嬢さんがいらっしゃるそうですが、和子さんとるいちゃんの親子関係に共感するところもありますか。
濱田:和子はるいがジョー(オダギリジョー)を連れてきたとき、めっちゃテンション上がっていましたよね。私も23歳の娘の親として、彼氏が来たら張り切りますし、娘が大好きな人は私だって大好きです。それで、「お母さんはツムツムでどのくらいハイスコアを出すんですか」なんて聞いてくれたら、「これ見て!」みたいなね(笑)。私は娘と話すのがすごく好きなんですけど、娘の彼氏と話をするのもすごく好きです。私たちの知らない娘の一面を知っている人なので、彼氏を通して自分の娘の新しい面を知るみたいなところもありますし。
ただ、竹村夫妻は、るいちゃんのお父さんお母さんみたいな感じだけれど、ジョーがトランペットを吹けなくなったときも、落ち込むるいちゃんをハグしていないんですよ。「これでいいのかな、中途半端かな」と思ったんですが、それは正解で。自分の動物の勘を信じて良かったと思うんですけど、そこは奥ゆかしく、適正距離を保つ夫婦なんです。泣いてくれれば涙を拭いてあげるし、何も言いたくなければ聞かない、それが竹村夫妻の美学だなと。
――『うたコン』(2月22日放送分/NHK総合)の『カムカムエヴリバディ』特集では、歌も披露されていました。歌声が昔と全然変わらないと評判でしたね。
濱田:「買い物ブギー」は自分的にはもうぎりぎりなんですよ。本番を迎えるまで食事ものどを通らなかったし、本番終わったら食欲が爆発して、3日間爆食だった。娘に「どやった?」と聞いたら、「メイクは意外と面白かったけど、動きが変。それに、堰(せき)を切ったようにしゃべり始めて、壊れたかと思ったわ。って言われて。
――歌の仕事も復活されるのでしょうか。
濱田:いや、私はモダチョキ(モダンチョキチョキズ)もやってましたが、自分では歌う人じゃないと思っているので、自分から歌いたいと思って歌うのはカラオケだけなんです。歌手たるもの、自分の表現として気持ちを歌う、歌詞の世界にどっぷり浸かって表現をすることが大切だと思うんですけど、私はそうではないんです。「ビジネス歌手」ですから。伝えたいメッセージなんてないし、私には思いを歌うとかはできないんです。だから、台本を渡されて演じるのと、歌を渡されて歌うのと、やっていることはほぼ変わらないかもしれない。そもそもこういう役をやりたいとか、こういう歌を歌いたいとか、私は欲望がないんですね。そういうところは淡泊というか、ビジネスですね。
――濱田さんと言うと、『あしたまにあ〜な』(1998年~2005年放送/テレビ朝日系)の早口ナレーションのイメージも強いですが、ナレーションもお芝居の延長線上でしょうか。
濱田:ナレーションは、顔がなく、声だけなので、お芝居をする以上にお芝居しています。『あしたまにあ~な』はすごく刺激的な番組でしたね。7年間務めさせていただいたんですけど、最初に原稿を読んだ時に、「10秒じゃこんなに入らないです」と言って、「でも、早口にしたら入るかもね」と、早口でやってみたら入ったんです。それで、全部こんな感じでやる?と。世間的には「早口の人」みたいになっていますけど、全然得意じゃないです(笑)。月曜分から金曜分まで一気に収録するんですが、最初なんて全然進まなくて、「これ、夜中までかかっちゃうんじゃないの?」と思うんです。それで、ウォーミングアップも兼ねて「無理! 舌回らへんわ。もっかいやらしてください」とか言うんですけど、水曜日くらいからどんどんのってきて、木曜日金曜日はワンテイクでいけちゃう。そんな感じで7年間悪戦苦闘しながらやっていたんですよ。