『カムカム』再登場・濱田マリ「私は素材ではなく調味料」 バイプレイヤーとしての心構え
――濱田さんのトークはすごく楽しいですが、コメンテーターなどのオファーもあるのでは。
濱田:以前はそういうお仕事をさせていただいたこともありましたけど、コメンテーターさんは視聴者の声を代弁するとか、かなり制約があるじゃないですか。それより最近は、制作寄りの仕事が楽しいんですよ。4月から始まるNHKの『あしたが変わるトリセツショー』(7日放送開始/毎週木曜19時57分)といって、石原さとみさんがショーマンとして、いろんな食べ物や体のことなどの取り扱い説明書をショー形式でお届けする番組なんですけど、石原さんの隣にいるミミズクみたいな鳥のロボット「トリンキー」の声を私が担当しているんです。
いわゆる天の声ポジションなので、立場上、番組の筋を把握して、スタッフさんと一緒に作り上げていかなければいけない。そういう番組を作るスタッフの熱量を感じられる仕事が、すごく好きだなあと。ナレーションがそもそも、演者ではあるけど、一緒に番組に寄り添う、制作寄りのポジションですし。
『あしたが変わるトリセツショー』(NHK総合)でMCを務める石原さとみ(左)と
鳥の像・トリンキーの声を担当する濱田マリ(C)NHK
――そういえば、お芝居でもヒロインに寄り添ったり、声の仕事でも寄り添ったり、寄り添うポジションを託されることが多いですね。
濱田:それは好きかもしれないですね。私とて、女子ですから、ヒロイン役をやりたいと思ったこともありました。でも、モダチョキで「全然、表になんか立ちたくない!」ということがわかったんですよ。私は表に立つ人を支える、そばで自分がやるべき業務を遂行できることがとっても幸せだと思うし、やっぱりバイプレーヤーなんですよね。役柄については、温度・湿度管理ができているつもりなので、間違えることはあまりありませんし、引き出しもそこそこあると思います。
やりたい役などは全然なくて、そういう欲望は淡泊ですが、いつも監督さんが思い描いている90点を超えた芝居をすることが私のやりたいこと。私はとっても使い勝手がいいですよ(笑)。昔、女性の監督さんに言われてうれしかったのが、「私は濱田さんのことを鷹の爪だと思ってます。濱田さんがいないと、味が締まらない」という言葉でした。私は素材ではなく調味料なんです。
最近は、干し椎茸のポジションを狙っているんですよ。かっさかさやねんけど、味がすごい出るでえ~、戻るで~、どこで止めとく~?みたいな。簡易的に持ち運べるけど、とんでもない食感と仕事しよるでというのを狙っています。(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)