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『SPY×FAMILY』江口拓也の“仕事の流儀” 「作品に優劣つけず平等なエネルギーを」

アニメ

江口拓也
江口拓也 クランクイン! 写真:小川遼

 2019年に「少年ジャンプ+」(集英社)で連載開始されるや看板作品のひとつにまで急成長し、2022年にはテレビアニメ化されてヒットを記録、現在Season 2も大好評放送中の『SPY×FAMILY』。勢いそのままに、初となる劇場版『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が22日に劇場公開を迎える。中村倫也、賀来賢人らがゲストとして加わり、完全新作オリジナルストーリーが展開される本作は、興収・内容ともにこの冬の期待作のひとつ。だが、盛り上がりの最中でも主人公の凄腕スパイ、ロイド・フォージャー役として作品をけん引し続ける江口拓也に浮かれた要素は見当たらない。的確に、着実に任務を遂行する彼に、本シリーズの舞台裏と仕事の流儀を教えていただいた。

【写真】この日は緑のカーゴパンツに黒のスニーカーを合わせたスタイル 江口拓也の全身ショット

■ロイドは「初期と比べてどんどん表情が豊かに」

――原作は「少年ジャンプ+」のヒット作ですが、アニメ化されてより人気が拡大した印象です。江口さんは『SPY×FAMILY』が国民的作品になった理由をどのように分析されていますか?

江口:設定としてはスパイと超能力者、殺し屋、未来予知犬というそれぞれ能力と秘密を持っている人+犬の物語なのでド派手な印象がありますが、やっていることは家族愛です。家族の物語ってやっぱりどの世代にも刺さるものですし、誰しもが物心ついたときにそれぞれの家族像があり、お世話になっている人が家族でしょうから、ふに落ちやすいところがあると思います。

『SPY×FAMILY』の“家族”は全員他人ですが、血がつながっていようがいまいが他人は他人であるというのは僕自身も思っていることですし、他人同士が寄り添っているなかで生まれるものこそ、その人たちだけの関わり合いであって、それを家族と呼ぶのだと感じています。家族が出来上がっていくまでの過程は誰もが立ち向かっていくものだと思いますし、大人・子ども関係なくそれぞれが感情移入できるポイントが必ずあるのが、支持されている理由かなと思います。

――家族になっていく過程で引き立つのが、フォージャー家の面々の掛け合いの面白さです。今回の劇場版で、何か変化は感じられましたか?

江口:僕自身はロイドを粛々と演じる感情でしかありませんが、初期と比べてどんどん表情が豊かになっているなとは感じます。アーニャも最初はある意味よそ行きの感情というか大人しい部分はありましたが、どんどん等身大の無邪気さが出てきて、喜怒哀楽がはっきりしてきました。ロイドもそういった感情に引っ張られている部分はかなりあると思います。

――おっしゃる通り、元々クールだったロイドにコミカルな部分がどんどん出てきて、カッコいい/面白いのギャップが大きな魅力だと感じます。これまでロイドを演じてこられて、振れ幅に関して調整が難しかったなどはございますか?

江口:声優としての技術的なお話になりますが、『SPY×FAMILY』の大きなポイントは「アーニャは人の心を読めてしまう」というところです。表でしゃべっているセリフと、心の中でしゃべっているモノローグの対比を、視聴者がアーニャを通して分かる構造になっています。そして、収録においては基本的に普通にしゃべるセリフと心の声を一緒に録ります。ダイアログを録って、モノローグを録って、またダイアログを録って…といった感じで収録が進んでいくので、事前に自分の中である程度決めていかないとパッと切り替えられません。それが大変な部分であり、挑戦しがいのある部分です。

――そういった形なのですね! 実写だとモノローグは別録りするが一般的なので、流れで録っていくとお聞きして目からうろこです。

江口:そうですよね。声優ならではのやり方だと思います。

――ロイドにはある過去があり、「平和」というものに対して強い思いを抱くようになったキャラクターです。江口さんはロイドの人物像をどのように捉えてこれまで演じてこられましたか?

江口:生きていて世界にフォーカスすることって、よほどのことがない限りないかと思いますが、おっしゃる通りこの先描かれる「なぜロイドがそうなったか」という部分が、人格形成の上で重要なものになっています。ただ、そうした過去はこれまでも見え隠れはしてきました。第1話でも「自分は子どもの頃につらい思いをしたから、そういった人を少しでも減らしたい」と触れられていますしね。そうした思いがロイドの中で最も強い部分であり、実現するためにあれほどの能力を身に付けたわけですから、努力を惜しまない実直な人だと感じます。

――『SPY×FAMILY』を通じてお芝居はもちろん、江口さんの“画伯”の部分がより一般化された側面もあるかと思いますが、ご自身のキャリアにおいてどういった存在になりましたか?

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■「作品に優劣をつけない」という考え方

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