佐藤健、35歳の現在地「プライベートはどうでもいい 作品を後悔なきようにやりたい」
映画『四月になれば彼女は』場面写真 (C)2024「四月になれば彼女は」製作委員会
意外にも芝居で共演するのは初めてだという長澤と紡ぐ俊と弥生の恋愛は、街でよく見かけるカップルの自然体なやりとりが実にリアルに描かれていた。「(長澤とは)なにか特別に話したことはなかったです。ただやっぱり、普段の延長で映るので、『こうしようね』と話すより、なんとなく一緒にいて、なんとなく他愛のない話をしていました」と撮影を振り返る。
「何年も一緒にいる人たちだから、良くも悪くもお互いがお互いの日常になっている。そういうカップルってたくさんいると思うんです。そんな2人に見えればいいなという思いはありました。外から見るとすごくいい彼や彼女、めちゃくちゃ気を遣い合えているように見えるカップルが、実はどこか一番大事なものが欠落していたりするんだろうなと思って。大事なのは本質で、表面で見えることはすべてじゃないというか、真実じゃない場合が多いなと思うので。この2人も一見うまくいっているカップルで、すごく気を遣える彼で、彼女のこともよくわかっているように見えるけど、実は本当に大切なものが欠けていたから弥生は失踪してしまったのかもしれない。そんなカップルを目指しました」。
映画『四月になれば彼女は』場面写真 (C)2024「四月になれば彼女は」製作委員会
一方の森とは、大学時代のまぶしくも壊れやすい恋愛模様を作り上げた。「テレビなどで見た印象で、お芝居に関しては感性でやっていらっしゃる方なのかなという気がしていましたが、その通りでした。この作品は森さんの感性が生きる撮影手法をしていたし、森さんの素敵なところがたくさん出ている作品になっていると思います」。
映画『四月になれば彼女は』場面写真 (C)2024「四月になれば彼女は」製作委員会
『るろうに剣心』シリーズで魅せる圧倒的な佇まいも魅力の佐藤だが、ラブストーリーの中で息づく佐藤健には、色気や儚さがあふれる。ラブストーリーに臨む際に意識することはあるのだろうか? 「用意しないようにしようというか、こういう演技をしようと考えないで、その時感じたまま演技ができたらいいなと思っています。だから本当に相手の方によって自分も変わっていくんですよね。今回も森さんや長澤さんとお芝居をして、もちろん過去パートはこうなればいい、現在パートはこうなればいいみたいな思いはあるんですけど、とはいえ、演じるときはいったん何も考えずに臨むと、芝居が勝手に変わるんですよね。それはすごく面白いなって思いながら毎回やっています」との答えが。
また、『恋はつづくよどこまでも』で演じた天堂浬のように相手を振り回す“俺様キャラ”もあれば、今回のように相手に振り回されるどちらかといえば“受け”のキャラクターを演じることもある。どちらがやりやすいかという問いには、「振り回す系の女性キャラが好きなんです。観るときも、演じるときもそっちのほうが楽しいかな。翻弄されている感じはやってて楽しいですね(笑)」と教えてくれた。