渡辺謙&菊地凛子、意外にも物事はスパスパ決められない 最終的に大切なのは思いと熱意
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(左から)渡辺謙、菊地凛子
――その意味で、シーズン2から登場したキャラクターも個性的ですね。窪塚洋介さん演じる千原会・若頭の葉山は強烈なキャラクターです。
渡辺:めちゃくちゃだよね(笑)。あいつ(窪塚)がめちゃくちゃと言うわけではなく、あの役がね。刑事である俺とは(ヤクザなので)会っちゃいけない役だから、撮影自体はほぼ1日しか一緒じゃなかったんだけれど、いい意味ですごく落ち着いて大人になっていました。(窪塚演じる葉山の)やっていることはひどいんだけれど、俳優としての面持ちはドシっとしていて重心も下がっていた。大人になるってこういうことなんだな……って実感しました。
――渡辺さんは2000年に放送されたドラマ『池袋ウエストゲートパーク』で刑事と不良役で共演されていますが、やっぱり親心的な視線で見てしまう感じですか?
渡辺:親心って……ほっといてよ!(笑) っていうか、かなりきわどい役なので「どうするのかな」って思って見ているじゃない? あるシーンで俺が役柄上チャージしたんですよ。普通だったらガッて立ち上がって向かってくるところが、ドシっと構えてやり取りをしたわけですよ。そういう姿を見ていると「大人になったなー」って思うわけですよ(笑)。
菊地凛子
■最終的に大切なのは思いと熱意
――本作では片桐は仕事と家族、丸山も家族や恋人との関係性で、さまざまな決断を迫られます。お二人もこれまでさまざまな作品に出演して、いろいろな決断に迫られてきたと思いますが、どんなところを重視して前に進んでいくのですか?
菊地:私はスパスパと物事を決められないタイプ。割とスロースターターなので、どんなことにも時間が掛かるんです。優柔不断なので、とにかく人に聞きまくりますね。そのなかでいろいろな意見を聞いていくうちに、自分の考えがまとまるという……。
渡辺:俺もそうだよ。そんなすぐに「OK!」なんて決められない。案件が大きければ大きいほど、最初は「NO」に近い感じで物事を考えます。頭のなかで「やったらどうなるか、やらなかったらどうなるか」みたいなことをグズグズとずっと考えちゃう。
菊地:私のイメージだと謙さんってすごく物事をはっきりと決断して進んでいくイメージだったので意外です。でもそういうとき、謙さんはどうやって決断するんですか?
渡辺:かなりグズグズしているよ(笑)。何か「これ!」という指針みたいなものはないかな。
菊地:そのなかで「やる」と決断したものは、好結果になっていますか?
渡辺:やった作品は、結果的にヒットするしないに関わらず、僕にとっては全部いい作品になっています。この間もテレビドラマをやったのですが、作家さんからオファーが来たとき、病気の役だったので、一旦断ったんです。僕は病気ものに対して「本当の病気の人たちの気持ちをドラマで僕が表現できない」と思っていたので、ほぼ受けないんです。思い出しても映画『明日の記憶』ぐらい。その後、作家さんからかなりの長文のメールをいただいて、それでも「僕はちょっと……」と連絡したら、またさらに熱意のある思いをメールでいただいて……。そのとき「この情熱には懸けるべきだな」と思ったんです。
菊地:謙さんには長文のメールを出せばいいんですね?(笑)
渡辺:いやいや、そういうことではなくて(笑)。長ければいいってものでもない。最終的には熱量みたいなものは、大きな決断の一つの要素ではありますね。
菊地:確かに人の思いなんですかね。
渡辺:そうだね。思いと熱意……みたいなものが人を突き動かすのかもしれませんね。
(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
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