勝地涼「僕の半分は宮藤官九郎さん」 “前髪クネ男”から11年、自身の強烈イメージに悩んだ時期も
「そこまでたくさん出ているわけではない」という宮藤作品。それでも連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK総合ほか)の“前髪クネ男”のインパクトは強烈で、今でもその話をされることが多いという。
そして強烈なキャラクターは勝地のパブリックイメージを作り上げていく。勝地は「正直20代後半ぐらいは、コミカルなイメージを持たれることについて、武器でもあるけれども、そのイメージがつき過ぎるのはどうなのかな」と悩んだ時期もあったという。
しかし今は「自分からそちらに寄って行くわけではなく、求められるのならばやればいい」という意識に変わった。こうした悩みは、俳優の仲間ともよく話すという。「この仕事を始めるとき、人に知ってもらいたいという思いがあった。その通りに『勝地ってこういうキャラだよね』と知ってもらえることって、すごいことなのかもしれない。自分にしかできないことを突き詰めていくことが大切だと確認し合ったところです」。
また勝地が尊敬する俳優の先輩からの言葉も、背中を押してくれたという。それは2001年に放送された連続ドラマ『さよなら、小津先生』(フジテレビ系)で共演した森山未來と永山瑛太(当時はEITA)だ。
「未來くんは僕が15歳のときからの付き合いで、絶対僕のことは褒めてくれないんです。でもこの間会ったとき、いろいろ話をしたあと『勝地はもう“勝地”ってジャンルでええんちゃうか』と、僕の目も見ずに言ってくれたんです。一定のイメージがつくことの怖さもありますが、別にいいのかなと思えるようになってきました。とてもうれしかったです」。
一方の永山からも「勝地はイカれている俳優だよ。前髪クネ男を見たけれど、あそこまでぶっ飛べるのはイカれているからだ。それを活かしてもっとやってやれ」と声を掛けてもらったというと「その意味ではずっと“面白”をやってきたからこそ『終りに見た街』(テレビ朝日系)で寺本という面白さと狂気が混ざったような、複雑な役を演じることができたのかなと思うんです」と回顧していた。
ありのままを受け入れたことで、逆に広がっていく可能性を感じたという勝地。『主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本』では、宮藤がどんな形で勝地を料理するのか――。「まだ“難しい”が先行してしまっているのですが、すごい俳優さんたちに負けないよう、そして宮藤さんの期待に応えて、何かを生み出せたらいいですね」と思いを口にしていた。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
ウーマンリブvol.16『主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本』は、ザ・スズナリ(東京)にて11月7日~12月15日、松下IMPホール(大阪)にて12月18日~22日上演。