柚希礼音&夢咲ねね、宝塚退団から10年 ”ちえねね”コンビに生まれた関係の進化
関連 :
夢咲ねね
――昨年の『RUNWAY』も拝見しましたが、本当に95分ありますか?というくらいあっという間の濃密なショーでした。先輩や後輩と楽しそうに踊っている柚希さん、大きなリボンのドレスをさすがの着こなしで魅せた夢咲さんの姿が印象的でした。
柚希:めっちゃ楽しかったです。あんなにいじっていただけることになるなんて(笑)。ねねはあのリボン持って帰れなかったんだよね?
夢咲:そうなんです(笑)。
柚希:下級生の楽屋に行っても笑いがあふれていました。あの公演をすることで、今の宝塚にエールを送れたらとみんな参加したんですけど、宝塚の伝統やメンバー、そしてファンの皆様からも愛をいただいた幸せな公演でした。
夢咲:今回共演した下級生の子たちには、在団中はすれちがいや期間がかぶっていない方もいたのですが、みんな愛があふれていて。はじめましてなのに、家族のように通じ合うひとつの絆みたいなものがあったので、すごく幸せを感じていました。
――宝塚のお話でいうと、夢咲さんの最後の同期生・凪七瑠海さんが先日退団をされました。
夢咲:私たちの期はキューピッドのような衣装で初舞台ロケットを担当しました。今回のカチャ(凪七)の退団公演では、その初舞台をオマージュしたシーンがあって。初舞台からのあれこれが一気に走馬灯で思い出されて、あのキューピッドをやっていたカチャがこんなに立派に男役を極めて、89期の有終の美を飾ったじゃないですけど、とてもエモくて同期みんなの涙腺が崩壊しました。
――一方の柚希さんは、同期の奏乃はるとさんが組長として現役で活躍されています。
柚希:にわにわ(奏乃)は、音楽学校の予科の時から組長になりたかったんですよ。そんな子っている?
夢咲:すごい!
柚希:みんながこんな男役さんになりたいと話している時から、組長さんになりたいって言っていた子なので、夢をかなえてすごいなと思います。
柚希礼音
――先ほど、姉妹のような身近な存在とのお話がありましたが、お互いのここが好き!というところを挙げるとするとどこでしょう?
夢咲:ピュアで、優しくて、受け止める力が大きい。すごく好きです。
柚希:まぁ(照)。
夢咲:なので、ついついわがままを言っちゃう。
柚希:それが面白いんですよね。在団中も時々「ここにご飯に行きたい」と頑張って言ってきたけど、でもそんなこと1000回くらい思って1回言えたくらいだった。でも今は「この店に行きたい!」と、明るめに言うところが好きです。
夢咲:ちえさんの大きい心があるから言えるんです。
柚希:ギャップがいいですよね。いつも頑張ってるわけじゃないところも好きです。稽古場とかでもオンオフがはっきりしている。『RUNWAY』でも最初のころは、最近の“ねね”で来ていたのに、途中からスイッチが入って現役の時の“ねね”も入れ込んできたのが観ていて面白くて! それが無理してやってる感じじゃないのも面白い。
夢咲:バレバレですね(笑)。
――今回のリンダ役、ライラ役はお二人にとって新しい挑戦とのことですが、今後はどんな挑戦を続けていきたいですか?
柚希:今年シャンソンに挑戦したのですが、これまでは歌い方やテクニックなど、こうじゃなきゃいけないということに囚われていました。シャンソンを歌われる方は毎回歌い方が違い、計算じゃないところがいっぱいあるんだろうなと感じました。そうすると、人にどう思われようと、評価を気にしないところで挑戦しようと思えたんです。それってとても勇気がいることで、見せる自分になっちゃうこともあるんですけど、それをやめようと挑戦したところ、心落ち着いて挑むことができました。これをミュージカルなどに活かしていけたら、開演前に舞台で「どうしよう、どうしよう」となる自分じゃなく、その役と向き合うことができていくかもしれない。今年はせっかくシャンソンで始まったから、そこで学んだことをミュージカルにも活かして、リラックスした状態で舞台や歌に臨めるようになっていきたいと思います。
夢咲:退団して10年が経って、今回ライラというまた全然違うタイプの役に出会うことができました。それをまた自分の中に入れ込んで、もっともっと夢咲ねねという人間の振り幅が広くなっていくように頑張っていけたらいいなと思っています。
(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)
ミュージカル『ホリデイ・イン』は、4月1日~16日に東京・東急シアターオーブ、4月22日~5月1日に大阪・SkyシアターMBSにて上演。