水瀬いのりが信じるヒーロー像「今日の自分の頑張りが、未来の誰かの支えになるかもしれない」
――「信頼」がスーパーヒーローを生み出すという本作の設定にちなんで、水瀬さんがこれまでの人生で大切にしてきた「信頼の築き方」があれば教えてください。
水瀬:私はわりと、“地雷”を先に知りたいタイプ”なんです。「これ、今から聞こうとしてることがもし嫌だったら、遠慮なく言ってね」とか、最初に相手の境界線をちゃんと確認したい。気を遣われることが苦手なので、「ここまでは大丈夫」「ここからはちょっと嫌かも」っていうラインをお互いに共有しておきたいんです。だから、そういうスタンスを自然と理解し合えるような人が、周りには多い気がします。
たとえば、なんとなく間を埋めるような“実のない会話”って、私にとってはあまり意味がなくて……。それよりも、「本当に仲良くなりたい」「ちゃんと知りたい」っていう気持ちを、きちんと最初に伝えるようにしています。
逆に、まだ相手との関係に自信が持てないときは、無理に踏み込んだりはしません。私は、会話ってすごく“責任”があるものだと思っていて。自分が心を開いて話しかけるからには、ちゃんと相手の時間も大切にしたいし、お互いに“実りのある対話”ができる状態じゃないと、あまり踏み込まないようにしているんです。
なんとなく話が弾んで、「まあ、いい感じだったよね」で終わる関係もあるかもしれないけど、私はそういうのって、結局どこかで“気まずさ”になってしまうと思っていて。それなら最初から、お互いがちゃんと楽しく、安心していられるような関係を築きたい。だから、自分の中で「この人とは深く関われそう」と感じたときには、勇気を持って一歩踏み込んでいく。それが私なりの、信頼を育むコミュニケーションなのかなって思います。
――「何気ない会話にも責任が伴う」という感覚は大切ですよね。また、ラッキーシアンは人との出会いによって運命が動き出すキャラクターですが、水瀬さんご自身の人生を大きく変えるきっかけになった出会いや出来事はありますか?
水瀬:特定の「誰か」というより、「声優という仕事」そのものが、私の人生を動かしてくれた大きな出会いだったと思います。“声でキャラクターに命を吹き込む”ということが、私にとってのすべての原点であり、きっと一生をかけて向き合っていく存在。そうやって、自分自身を構成してくれた“運命の出来事”だったなと、今も感じています。