元宝塚月組トップスター・珠城りょう、退団から4年「やっと自分に優しくできるように」
――大河ドラマ『べらぼう』や、『VIVANT』など映像作品でのご活躍も続きますが、映像での経験は舞台に活きていると感じられますか?
珠城:先日久しぶりにストレートプレイのお芝居に出演したのですが、映像の現場での経験がとても活きているなと感じました。セリフの言い方1つ1つをとってもそうなのですが、自分の中で今までの現場での経験というものが確実に糧になっているのを感じるので、ちょっとずつ自分の中で自信につながっています。
――映像のお仕事の楽しさはどこにありますか?
珠城:映像はすべてにおいてリアルに作ってくださっているので、細かいところを見るのが楽しいです。デスクとかもその人が使っているような物をいっぱい置いてくださったり。『アンチヒーロー』の現場では、私の演じるキャラクターが編集者として所属する雑誌が「Sereno」という名前で、私のファンクラブの名前と一緒だったので「これは偶然かな?」とマネージャーと話していたんです。スタッフさんに「もしかして…」とお聞きしたら、「そうなんですよ!気付いてくれましたか!?」と。ちょっとしたシーンのために、ファンクラブの名前を忍ばせてくださったりするところにも感動しましたし、そんなこだわりを感じられてとても楽しかったです。それぞれのキャストさんとのお芝居も、よりリアルで肌感が全然違いますし、そうした違いを感じることも楽しいです。
――舞台に対して改めて感じる楽しさもありますか?
珠城:舞台は360°観られていてエネルギーを使うので、映像とは表現の仕方が違ってくるという点ではとても楽しいですし、その日のお客様の空気によって、温度感が全然違ったりする点も魅力ですね。コメディー作品をやっていると、その日のお客様によって笑うポイントが微妙に違ったり。お客様の反応がダイレクトに感じられるというのは、舞台にしかないものですし、やっぱり舞台が大好きだなと改めて感じています。
――舞台、ミュージカル、コンサートにドラマ、映画とほとんどのジャンルに挑戦されていますよね。あと残るは、声優のお仕事でしょうか?
珠城:これまで私の声が好きって言ってくださるファンの方も多かったのですが、私のことを知らない方も「ドラマ『人事の人見』を観ていて『どこかで聞いたことがある声だな』と思ったら、『20世紀号に乗って』に出ていた珠城さんだ! 声が特徴的だからわかった!」と言ってくださったことがあってうれしかったです。自分の声にコンプレックスを感じている時期もあったのですが、もしかしたらこの声を上手に磨いていけば武器になるのかもしれないなって思ってきました。声のお仕事もオファーお待ちしています!(笑)
――宝塚時代は、珠城さんをご存じの方が観劇に訪れることが大半だったかと思いますが、そうして作品を通して珠城さんという存在を知っていただけることはうれしいですよね。
珠城:本当にうれしいです! 私のことを知らなかった方たちが作品を見て興味を持って調べてくださることもとっても幸せですし、そのあとも気になって密かに応援しています!みたいなことを言っていただけると励みになります。