『イカゲーム3』パク・ソンフン 「本当に悲しかった」衝撃シーンの裏側を語る<ネタバレあり>
世界的社会現象となった『イカゲーム』の完結編となるシーズン3がついにNetflixで独占配信された。主人公ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)らは、運営側への反乱を決意したものの失敗し、失意に沈んだシーズン2。続くシーズン3は、反乱の直後から物語が動き出す。今回クランクイン!は、本作でトランスジェンダーのヒョンジュ役を務めたパク・ソンフンにインタビューを実施。本シーズンで新たに登場したゲームの裏側や作中の重要シーンについてネタバレも交えて聞いた。 ※シーズン3の重要なネタバレに触れています。ご注意ください
【写真】トランスジェンダーのヒョンジュにふんしたパク・ソンフン
■ヒョンジュのアクションに込めた思い
パク・ソンフン演じるヒョンジュは、性別適合手術の費用を工面するためゲームに参加。「女性として生きたい」と決意して以降、家族から縁を絶たれ、仕事も失い、借金まみれになったキャラクターだ。心優しい人物な一方、元特殊部隊員という意外な経歴を持ち、ギフンとともに反乱に参加。銃撃戦の最中に弾薬を取りに向かったデホ(カン・ハヌル)を追って宿舎に戻るが、ピンクガードに追い詰められてしまう。
そこから続くシーズン3で参加者を待ち受けていたのは、第4のゲーム「かくれんぼ」。参加者たちは、ランダムで青組・赤組の2つのチームに振り分けられ、鍵が配られた青組は、30分以内に出口を見つけて脱出するか、赤組に捕まらなければクリア。ナイフが配られた赤組は、青組を見つけて殺せばクリアというルールでゲームが展開される。
第4のゲームは「かくれんぼ」 『イカゲーム』シーズン3場面写真 Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン1~3:独占配信中
今回のゲーム会場は、「星の輝く夜に」という第2話のエピソードタイトルの通り、子どもの絵のようなタッチで星空が描かれたブルーの天井が目を引く巨大な迷路。どこか懐かしい路地のようなデザインで、小部屋や別の階につながる緑の扉が点在する。
このセットについてソンフンは「実際の迷路のような形の大きなセットが組まれていました」と撮影を振り返る。作品上では、上下階へ続く階段があり、複数階構造であるかのように映されているが、「大きく2つのセットがありまして、階段はあるものの、実際には階が分かれておらず、単層構造になっていました。扉を開けた時に、下の階まで一望できるようなシーンがありますが、あれはCGで再現しています」と裏側を明かす。
(左から)クムジャ(カン・エシム)、ジュニ(チョ・ユリ)、ヒョンジュ(パク・ソンフン) 『イカゲーム』シーズン3場面写真 Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン1~3:独占配信中
ヒョンジュはシーズン2同様、「かくれんぼ」でもジュニ(チョ・ユリ)とクムジャ(カン・エシム)と行動を共にする。三人とも殺意を帯びた赤組から逃げ惑う青組。しかし、ジュニは身重な上、途中から足を負傷。クムジャも老齢と、赤組にとっては格好の餌食なため、元特殊部隊員であるヒョンジュが、二人を守らなければならなかった。
狭い通路という制約のある空間で、ナイフを持った男相手に丸腰で戦うヒョンジュのアクションは、一挙手一投足に気迫が宿っていて目が離せない。ソンフンは「シーズン3では二人の男性と決闘するシーンがあり、そのためにアクションスクールに何度も通って練習を重ねました。現場でも何度もリハーサルを繰り返しながら、しっかりと準備をして撮影に臨みました」と同シーンの撮影を振り返る。
ヒョンジュ(パク・ソンフン) 『イカゲーム』シーズン3場面写真 Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン1~3:独占配信中
そんな中で、ファン・ドンヒョク監督からは変わった注文もあったそうで「体力が求められる役だったのですが、とあるシーンで半袖を着ていた時に腕の筋肉がはっきりと割れていたらしく、監督から『トランスジェンダーの役なんだから、もうウェイトは控えて』と言われたことがあります」とも明かす。そう言われるまで体に叩き込んだ動きの数々が、説得力のある死闘を生み出したのだろう。
それと同時にヒョンジュのアクションは、どこか憂いも帯びていた。心理的な役作りについてソンフンはこう語っている。「ヒョンジュは、自分とジュニとクムジャを守るために、やむを得ず人を殺さなければなりませんでした。なのでアクションにも、やや防衛的な動きを入れたんです。ナイフで人を刺す時も、相手の目を見て真っすぐ刺すのではなく、顔をそむけて、仕方なく刺すような芝居を入れました。そうすることで彼女の葛藤を表現したのです」。