いしのようこ、デビュー40周年も変わらぬ自然体 30代半ばでの気づきがターニングポイントに
――いしのさんは今年デビュー40周年を迎えられました。振り返ると、どんな40年でしたか?
いしの:振り返るとあっという間なんですよね。大変なことも楽しいこともたくさんあって…。でもすべてに感謝しています。嫌なことや辛いことも含めてすべてに感謝ですね。
――40年の中でターニングポイントを挙げるとすると?
いしの:30代半ばくらいですかね。なんだか知らないんですけど、なんの根拠もなく「あ、この先私はずっと幸せだ」って思ったことがあって(笑)。それから先、すごく楽です。
――それは突然下りてきた感じですか?
いしの:下りてきたというか、いろんなことがちょっと分かりかけた気がしたんですよね。「これから先、私は誰とも出会わずに1人でいてもずっと幸せに生きていける」と思ったことがあって…。それから先すごく楽に生きています(笑)。
――羨ましいです!(笑)
いしの:いいですよ~(笑)。いろんな背負うことはいっぱいありますけど、「それも含めて人生」みたいな感じのちょっと俯瞰な部分が出てきたのか。私にも詳しく理解できないんですけど、なんでこんなにハッピーなんだろう?というのは(笑)。
――(笑)。40周年を記念してライブを開催されたりはしないのですか?
いしの:しないです、しないです。同期のお友達がこないだやっていたので観に行ったのですが、ちょっと泣いちゃうくらい懐かしいデビュー曲を歌っていて「すごいね」って感動しました。「ようこもやればいいのに」と言われたんですけど、「いやいやいや。私はそういうのはいいわ」って言って(笑)。一観客として「すご~い」って言って観ているほうがいいですね。
――待ち望まれているファンの皆さんも多いと思いますよ?
いしの:もともと歌を出すなんて知らなかったんです。聞いてなかったので、「え!」って社長室で泣いて嫌がった記憶があるので(笑)。人前で歌を歌うってこんな不安なこともないって思って、会社にも「もうそろそろいいんじゃないでしょうか…?」とずっと言っていました。
――デビュー当時から歌よりもお芝居のほうがお好きだったのですか?
いしの:歌は、誰に向けて、誰に渡していいのか分からなくなっちゃうんですよね。ドラマだと、この人に渡すというのがはっきりあったので、すごく安心感があったんです。歌の場合、まだライブとかだったらいいんですけど、スタジオとか収録とかになると「どこに?」っていうのがすごく不安で。不安と恥ずかしさと、自分で「一体これは何をやっているんだ?」という感覚が捨てきれなくて。なので、ずっとドラマのほうが安心感がありました。
――本作や『あきない世傳 金と銀』(NHK BS)などさまざまな作品で活躍されていますが、オフの時のいしのさんはどんな感じなのでしょうか?
いしの:コロナ禍以降、急に手芸を始めたんです。刺繍をしたり、編み物をしたり。もともと何かを作ることがすごく好きで、ちょっと前までは家具を作ったりと大工仕事をよくしていたんですね。そこからちょっと間が空いて、コロナ禍になって家の中でやれることをと、今まで目を向けていなかったんですけど急に始めて。
編み物や刺繍はほとんど瞑想だなって感じます。気持ちいいんです(笑)。グアムでも、ずっと麦わら帽子を編んでいました。「いしのさんだけ一人、自分だけの時間が流れている」なんて言われながら(笑)。楽しいんですよね。
(取材・文:佐藤鷹飛 写真:高野広美)
ドラマ『私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間』は、テレビ東京、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ 九州放送にて毎週火曜24時30分放送。テレビ大阪にて毎週金曜25時30分、BSテレ東にて毎週日曜24時放送。