いしのようこ、デビュー40周年も変わらぬ自然体 30代半ばでの気づきがターニングポイントに

さまざまな作品で確かな存在感を放ち、今年デビュー40周年を迎えた俳優のいしのようこ。この夏、オールグアムロケ(一部回想シーンは日本で撮影)を敢行したことも話題のドラマ『私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~』(テレ東ほか/毎週火曜24時30分)で、娘が独り立ちし夫との夫婦関係を見つめ直す女性を好演中だ。そんないしのに、本作で演じた寛子の印象や、40年の芸能生活の中で感じたターニングポイントについて話を聞いた。
【写真】今年デビュー40周年を迎えたいしのようこ 変わらぬ美しさのインタビュー撮りおろしショット
◆何も事件は起きないので、その分すごく台本の中に没入する作品
本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。3世代の男女が考える「二人でいることの意味」「誰かと一緒に生きる」といった、日常から離れた環境で改めて見つめ直す自分の「人生」をテーマに、グアムのさまざまな舞台や景観の中でヒューマンドラマを描いていく。最後に1組の男女が別れを決断することが明かされており、それぞれのカップルがどのような心情の揺れを経て、どんな決断を下すのか注目を集めている。
いしのが演じる寛子は、就職に伴い独立した一人娘から海外旅行をプレゼントされ、夫・健次郎と共にグアムを訪れる。これまで家庭や子育てに全力で向き合ってきたが、子育てから解放され、夫と2人の生活やこれからの自身の生き方について戸惑いを隠せない女性だ。いしのは、世の中に同じような境遇の女性が多くいるであろう、等身大の50代女性を繊細な演技で体現している。
ドラマ『私があなたといる理由〜グアムを訪れた3組の男女の1週間』キービジュアル (C)「私があなたといる理由」製作委員会
――オールグアムロケで撮影された本作。お話を聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?
いしの:贅沢なお話ですよね。グアムでの撮影は一部分なのかなと思っていたらオールグアムロケと聞いて、「本当に?」って(笑)。3週間くらい滞在しましたが、勝手が違う部分や慣れないこともありましたけど、スタッフさんもみんな日本から一緒だったので、お仕事の内容自体はそんなに変わらず進めることができました。グアム政府観光局の皆さんもすごくよくしてくださいましたし。
――3組の男女の1週間を描いた物語ですが、台本を読まれてどんな感想を持たれましたか?
いしの:何も事件は起きないので、その分すごく台本の中に没入する作品でした。あれこれ起きない分、掘り下げればどんどん掘り下げられちゃうので、どこまで掘り下げていいものなのか、どこらへんで留めておくのがいいのか、いろいろ悩むところではありました。どこに向かうかというのがすごく分かりやすくあるわけではなく、微妙な心情の変化を追いかけていくので、すごく台本と向き合いましたね。
――第1話では、「男でごめんなさい」と言いたくなるような、3人の男性の悪気はないんだけど、ちょっとどうなの?と思えるような行動が描かれていました。
いしの:(笑)。男性だから女性だからということよりも、人と向き合うということの難しさがありますよね。誰かが教えてくれたわけではないし、どこで習うものでもないので手探っていくしかないですもんね。それは恋人であれお友達であれ、仕事関係の人であれ、人との向き合い方というのはとても微妙で難しくって。形がちゃんとないものだから、気を抜いているとふわーっと霧散していくような、そういうものなんだろうなと思って。
台本と向き合っているときにも難しいなって思ったのは、概念みたいなものや口で説明できないものを説明しようとしているということ。その難しさはすごくありましたね。