『ジュラシック・パーク』脚本家デヴィッド・コープが書きたいと思った“誰もが知る名作” ギャレス・エドワーズ監督も納得
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──今回脚本を書くにあたって本作における「十戒」ならぬ“九戒”を作ったとか。
デヴィッド:はい、書き始める前に作りました。自分の目的のための指針となり、とても役に立ちました。『ワイリー・コヨーテとロード・ランナー』のアニメーターであるチャック・ジョーンズのことを思い出しながらそれを作ったんですが、コヨーテとロード・ランナーはとても面白いカートゥーンだけど、“真実”であり非常にシンプルな作品なんです。創作における美的制約とは何かを思い出させてくれる。そしてその制約とは、すごく助けになる存在なんですよ。「これをしてはいけない」「あれはできない」「さて、その中で何をする?」と考えることになる。そうやってクリエイティブな解決策を出すことを余儀なくされるんです。
だから私も、自分自身と本作に携わる人のためのガイダンスとして、私たちのものがどうあるべきかを書き留めた。これまでの「ジュラシック・ワールド」の作品を否定するわけではありませんが、恐竜は怪物ではなく、動物であること。全てにおいてユーモアが重要であること。科学はある程度、現実的でなければならないこと。ヒーローの動機はどうなっているのか。悪役の動機はどうなっているのか。これらのことは私にとって本当に重要に感じることです。だから、それらを印刷して壁に貼り、常に自分が何をしているのか思い出しながら作業しました。
──確かに、「恐竜は怪物ではなく動物である」という点は強く共感しました。
■デヴィッド・コープが「これこそ書きたかった脚本」と感じた作品 ギャレス・エドワーズ監督も納得
ギャレス:僕からも質問いい?(デヴィッドに向かって)映画におけるユーモアとその他の要素のバランスについて話していたけど、これまで作らなかった映画の中で、「これこそずっと書きたかった脚本だ」と感じる作品はなんですか?
デヴィッド:『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(脚本:ローレンス・カスダン)ですね(即答)。
ギャレス:ああ、納得です。
デヴィッド:『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』は、私にとって二つの大切なことを気づかせてくれた映画です。実は学生の頃、ずっと俳優になりたいと思っていたんです。でも、この映画を観て「いや、自分はこういう作品を書きたいんだ」と気づいた。監督したい、というより脚本を書きたいと思った。なぜなら、その作品の世界やアイデアがはっきりとイメージできて、それがとても巧妙に感じたからです。
特に映画の序盤の説明的なシーン、本を開く場面(陸軍情報局やマーカスと“アーク”について確認する場面)が大好きで、あそこは何百回も観て、その内容を文字起こしのように書き起こしたことがある。映画史上、最高な説明的シーンと言っても過言ではないと思います。
ギャレス:僕も、あのシーンは映画の撮影で仕事へ向かう車内で、何度も繰り返し観ていました。なぜなら『ジュラシック・ワールド/復活の大地』にも説明的シーンがあったからね。あそこまで上手くできればよかったけど(笑)
デヴィッド:いや、上手くできていたと思うよ。
ギャレス:ありがとう。
映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』場面写真 (C)2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
デヴィッド:『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に話を戻すけど、あの映画はワクワクしてスリルがあって感動的で、脚本家になりたいと思わせた。それが一つ目の大切な気づきでした。もう一つの気づきはさらに重要で、当時付き合っていた彼女とそれを一緒に観たんです。すると、なんと彼女はあまり気に入らなかった。だから、話し合うことはもうないと気づいて、そこで彼女と別れました。それが本当に僕にとって大切な出来事だったんです(笑)。彼女は「まあ、別に。今まで観てきた映画の中で最悪ってほどではないわね」って言っていたんですよ。1981年にあの映画を観て好きにならないって、ありえることでしょうか?(笑)。
ギャレス:自分がものすごく大好きなものを愛する人と共有しようとしても……なかなか上手くいかないことってあるよね。
──私も『ジュラシック・パーク』三部作をちゃんと観たことがない男性と付き合って、いざ観ると文句ばかり言ってくるのが信じられなくて別れた経験があります。後悔していません。
デヴィッド:はは(笑)。私も後悔していないよ。
ギャレス:僕も同じことしていたと思う!
(取材・文:アナイス/ANAIS)
映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は公開中。