東山奈央が大切にする、心を通わせるための一歩「あなたと仲良くなりたいっていう気持ちさえ伝われば、それだけで十分」
――マリーとアーサーの関係性について、演じながらどのように感じましたか?
東山:2人は“強さ”と“弱さ”の両方をあわせ持ったキャラクター同士なんだなと感じました。どちらか一方が強くて支えているのではなく、お互いの足りない部分を、自然に補い合っているような……。そんな、すごく素敵な関係なんですよね。
マリーはロボットメイドとしてアーサーのもとに送り込まれ、命を狙われる彼を守るために必死に戦うのですが、実はマリー自身もアーサーに支えられているんです。お互いに守り、支え合っていて……その姿がとてもあたたかくて、大切に思い合っていることがじんわりと伝わってくる。演じながら、何度も「本当にいいコンビだなぁ」と思いました。
そして、アーサー役の石谷春貴くんのお芝居が、本当に優しくて素敵で。アーサーは、人に対しては少しきつい言い方をしてしまうんですけど、マリーと向き合うときだけは、驚くほどやわらかい声で、愛情をたっぷり込めて話しかけてくれるんです。そのトーンが本当に絶妙で……石谷くんだからこそ出せる、あたたかさや優しさがあるなと感じました。
石谷くん自身もとても優しい方なので、掛け合いの中で私の心もふわっと和らぐような瞬間が何度もあって。そうした空気感も、自然とマイクに乗っていたような気がします。
テレビアニメ『機械じかけのマリー』場面写真(C)あきもと明希・白泉社/機械じかけのマリー製作委員会
――彼らのほかにも個性豊かなキャラクターがそろう本作ですが、東山さんが注目するキャラクターは?
東山:本当にみんな魅力的で、「全員に注目してほしい!」って言いたくなっちゃうくらいなんです。『機械じかけのマリー』って、登場する“敵キャラ”たちですらどこか憎めなくて、チャーミングなんですよね。役者のみなさんのお芝居もすごくはっちゃけていて、「みんなで面白いものを作ろう!」っていう熱気が感じられる、とても良い現場だったなと感じています。
そんな中で、あえてひとり挙げるとしたら……メイナード、でしょうか。アーサーの命を狙うキャラクターのひとりなんですが、「本当に狙う気あるの?」って思っちゃうくらい、どこか抜けていて(笑)。テンションがものすごく高くて、言動もズレていて、1周回ってアーサーのことが好きなんじゃないかと思えるほど、なんとも愛らしい存在なんです。
演じている梶田大嗣さんも本当に素晴らしくて、毎回なにかを“仕込んでくる”んですよ。アフレコのたびに「今日は梶田さん、どんなメイナードをやってくるんだろう」って、キャストもスタッフもみんなワクワクしながら待っていました。
印象的だったのが、アフレコ中にスタッフさんがトークバックで「梶田くんは本当にいい声だから、その声を大事にしてね」とおっしゃっていたこと。現場中に声そのものを褒められる機会って、実はあまり多くないんです。でもそれだけ、梶田さんの声とお芝居に力があったということなんだと思います。
メイナードはギャンギャン騒がしいキャラクターではあるんですけど、その騒がしさが耳に心地よくて、「また出てきてほしい!」と思わせてくれる存在なんですよね。梶田さんの熱演によって、原作以上にアニメではさらに魅力的に、よりコミカルに仕上がっていると思います。ずっこけるシーンなんかは、“深い爪痕を残しに来ている”と言っても過言じゃないので(笑)、ぜひ注目していただきたいキャラクターです!