東山奈央が大切にする、心を通わせるための一歩「あなたと仲良くなりたいっていう気持ちさえ伝われば、それだけで十分」
――ED主題歌「Cross heart」は、東山さんとマリー2役の小清水亜美さんが歌唱されていますが、どのような楽曲になっていますか?
東山:まず、タイトルの「Cross heart」は“ハートが交差する”という意味ですが、まさに、マリーとアーサーが出会い、恋心を抱いていく中で生まれるすれ違いやときめき……そんなピュアな気持ちがぎゅっと詰まった一曲になっています。
マリーは、自分が“人間であること”を隠さなければならない。一方でアーサーは、どんどん惹かれていく相手を“ロボット”だと思っているのに本気で愛おしく感じてしまっている。その中で、お互いに思い合っていながらも、なかなか距離が縮まらない……。そんな切なさやもどかしさも含めて、この作品ならではの恋模様が、楽曲からも伝わってくるんです。聴いていると、思わず「恋っていいな」って思えるような、胸がキュンとする楽曲になっていると思います。
そして、もうひとつの“クロス”は、マリーとマリー2の関係性。マリー2は生粋のロボットですが、とても優秀で、マリーにとっては心の支えのような存在。親友のようでもあり、頼れる相棒のようでもあり……そんな特別な立ち位置にいるんです。
マリー2役の小清水亜美さんも、演じながら「ここは少しだけマリーに歩み寄る気持ちで演じてみようかな」と、お芝居の中にほんのりと人間らしさを織り交ぜていらっしゃって。ロボットでありながら、そこには確かに“あたたかさ”があるんです。だからこそ、ただの機械ではなく、大切な存在としてのマリー2が、楽曲の中でもしっかりと息づいているように感じました。
曲の中には、そんなマリーとマリー2の“女の子同士の友情”も込められていて、ふたりでハモるパートがとても綺麗なんです。声が重なったときのハーモニーは本当に優しくて、心に残る仕上がりになっているので、ぜひ耳を傾けていただけたら嬉しいです。
――キャラクター性を考えると、マリーとマリー2が歌うというのは意外性がありますよね。
東山:ちょっと裏話になっちゃうんですけど、現場にいたときに「どうやら私たちがエンディングを歌うらしいですよ」という情報が入ってきたとき、「えっ!? マリーってボソボソ喋るし、マリー2は機械なのに、どうやって歌うの!?」って、ざわざわしたんです(笑)。
でも、実際に楽曲を聴いてみたら、冒頭にポエトリーリーディングのような詩的な掛け合いがあって、そこでキャラクターらしさがしっかり表現されていたんです。そこから美しいメロディと歌のパートが続いていくのですが、キャラクターの個性を感じられるだけでなく、楽曲としても純粋に素敵で……「1曲で2度おいしい」みたいな感覚なんですよね。
この構成がとても好きですし、「Cross heart」という楽曲の魅力がぎゅっと詰まった部分だと思っています。
テレビアニメ『機械じかけのマリー』場面写真(C)あきもと明希・白泉社/機械じかけのマリー製作委員会