モグライダー芝大輔が思う“芸人の役割”「元気を持っていかれる感覚になるのは、ある意味正しい」
関連 :
――そうした厳しい話も出てきますが、先輩のTAIGAさんとのエピソードには特にジンと来ました。
芝:ちょっとよく書きすぎて後悔しました。
――(笑)。『M‐1』決勝戦前日に送られてきたメール文も感動しましたし、TAIGAさんの言う“幸せの価値観”も本当にステキだなと。芝さん自身も、“幸せ”をテーマに最終章で触れていますが、もし若者から「将来、幸せになりたいんですが、どうしたらいいですか?」と声をかけられたら何と答えますか?
芝:難しいですね。あまり幸せになりたいとは思わないことじゃないですか。そこに固執すると、だいたいのことが決まってきちゃうから。幸せって、たとえば180度の視界のギリギリ見えるか見えないかぐらいのところにあるようなモノじゃないかと思うんです。一概には言えないですけど、多分ずっとあるんですよ。だからあまり意識しないことです。のちのち、「これが幸せか」と気づくかもしれないし。
――なるほど。
芝:幸せっていうのも、あくまでひとつの単位だし、人によって、それが“笑うこと”だとか、いろいろですよね。

――それこそ芸人さんは、人が幸せを感じるポイントのひとつでもある“笑い”を提供しています。大きな話になってしまいますが、芝さんは、芸人とはどういう人たちでありたいと考えますか?
芝:たとえば、僕らは全国津々浦々、いろんな場所に営業に行きます。なかにはいくつかの事務所の合同で行くものがあるんですけど、ネタが全部終わってエンディングも終わったあとに、ハイタッチ会があるんです。
――来場者とのハイタッチ会ですか?
芝:一定金額以上のお買い物をしてくれた人に権利があるんですけど、舞台上に僕らが並んで「ありがとうございます」って言いながら手を出していると、お客さんがハイタッチしていくんです。
――いわゆる握手会と同じですね。
芝:(芸人側は)ハイタッチって楽しいな、とはなかなかならない。流れ作業的なタッチにはなってしまいますけど、とはいえやっぱり削られるというか、持っていかれる感覚があったりするんです。

