柴咲コウ&川口春奈が明かす、芸能人として生きることの孤独と喜び
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川口春奈
――本作を観ていると、芸能人はいろいろな人の思いや責任を背負いながら、表に立つ存在であることがわかります。お二人は、芸能界に生きる大変さを感じることはありますか?
柴咲:いくら周りの人が寄り添ってくれたとしても、孤独がつきまとう仕事だとは思います。私は孤独が好きなのでやってこられましたが、そうではない性格の人にはキツイ世界かもしれません。華やかに見えるし、ハイリターンな部分もあるけれど、作品ごとに必ず「結果をうまく出さなければいけない」「心に残るものが作れるだろうか」「期待に応えられるだろうか」というプレッシャーが襲いかかります。最終的に一人でそこに立ち向かってパフォーマンスを出し切らなければいけないということは、孤独であり、苦痛であり、そして一方で幸せなことでもあります。
――それが、喜びになることもあるということでしょうか。
柴咲:はい、喜びに感じることもたくさんあります。思い描いていたようなお芝居ができた瞬間は快感があるし、大量の幸せホルモンが出てくる。そして本作で、この世界にまったく縁のない方々にも「こういう世界があるんだよ」と伝えられるきっかけ作りができたように、フィクションを作ることを通して、自分の仕事が意味のあるものだなと感じられると、本当にやっていてよかったなと思います。
川口:おっしゃる通り、どちらの側面もありますよね。大変さや生きづらさを感じることもありますが、一方でたくさんの出会いを叶えられることもあったりと、このお仕事でなければできなかったと思うようなすばらしいこともあって。つきまとうプレッシャーなどは、この仕事の宿命かなと感じる部分もありつつ、やはり孤独だなと思うこともあります。
――劇中、咲の所属事務所の俳優は、何が真実で、何が嘘かわからないまま、あらゆるプライベートが世間に晒されていきます。普段ネットニュースやSNSを見ていても、切り取られた情報だけが一人歩きしていく怖さを感じることがありますが、真実ではない情報の中心になってしまった場合、どのように対処しますか。
柴咲:やはり、それに押しつぶされたら終わりなので。この仕事をする上では、反骨精神や負けず嫌いな精神がプラスに働いていると思います。どこかでヤンキー気質を、持っていた方が楽かなと思います(笑)。ラブタイプ16診断をやってみたら、私はツンデレヤンキーでした(笑)!
川口:あはは!診断してみようかな!そこに対しての向き合い方で、心の疲弊の仕方はかなり変わってくるものですよね。私は「気にしない」と言ったら嘘になりますが、どこか楽観的というか、受け流す術も知ってきたというか。本当に許せないと思う時には、その気持ちを発信することでさらに火を大きくしてしまって、「言わなければよかったかな」と思ったり…。その繰り返しで、今でも何が正解かはわからないですが、自分の感情ともうまく付き合っていけたらいいなと思っています。
柴咲コウ
――“独立”というステージの変化も、演じた役柄と重なる柴咲さん。独立をしてから、幸福度に変化はありましたか?
柴咲:孤独がつきまとう仕事というお話をしましたが、そんな中、守るものができつつあることで幸福度は高まったと思います。これまでの自分がどれほど周りの人を頼り、守られていたのかにも気づくことができました。今はやることすべてが自分に跳ね返って来るので、文句があったとしたら、「社長!あ、私だ」となる(笑)。不満があるとしたらそのために何をすべきか、こうやって体制を変えていった方がいいのかなと考えていくことも楽しく、自分には向いているのかなと思っています。
――川口さんは、今年30代に突入しました。30代をどのように歩んでいきたいと感じていますか?
川口:自分の中では何も変わらないつもりではいるんですが、周りからどう見られているのか、どう思われているのかということが、年々気にならなくなってきているなと思います。仕事やプライベートにおいても、自分が好きな人、信じられる人と過ごしていけたらいいなと。そこで繋がった縁を大切にしながら、人との出会いを重ねていければいいなと思っています。
(取材・文:成田おり枝 写真:米玉利朋子[G.P. FLAG inc])
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