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吉井和哉「この作品を作ることは自分の使命だった」 『みらいのうた』へと導かれたドキュメンタリー映画に手応え

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吉井和哉

THE YELLOW MONKEY

■昭和、平成を生きてきたロックミュージシャンの今が描かれている

吉井和哉 写真:横山マサト
――EROさんの登場シーンを観てどう感じられましたか?

吉井:「やっぱり、この人かっこいいな」と思いました。まぁ、問題児ですけど(笑)。僕の師匠だし、反面教師でもあるEROが病気にならなかったら、この映画はなかったと思うから、運命の皮肉さはありますけどね。

――EROさんといる時の吉井さんのリラックスした雰囲気も印象的で、過ごした時間が重なると家族のようになってくるかなと感じました。

吉井:本当にそう。だから人から僕が「EROさんのお父さんみたい」とか、「弟みたい」とか言われたりもしました。僕は兄弟がいないし、EROと出会った時にすごく彼のことを慕って、ほぼ毎日彼の家に遊びに行ってたんですよ。だから、もう兄貴みたいに思ってたんですよね。兄貴だから、放っておけないし、心配になるし、ずっと気になるんですよね。

でも、すごく頑固だし、自分がやりたくないことは本当にやらないし、キレるし、「やれ」って言うと「やだよ」って言う正直な人だから、何かお願いするにも大変なんですよ(笑)。今回のセッションをお願いする時も、最初どうかなって思ってたんだけど、EROが「俺もね、それが生きがいになる」って言ってくれたから、「そんなこと言うんだ」と思って結構驚いたんです。

そういえば、映画を観たEROが喜んでました。EROって「優しい男なんてクソくらえ」っていうのがスローガンなんです(笑)。そんなEROが、僕にすごく優しい言葉を言ってくれたんですよ。「実は俺はお前を初めて見た時に、王子様だと思ったんだ」とか(笑)。何か気持ち悪いなと思ったけど(笑)、うれしかったですね。

映画『みらいのうた』場面写真 (C)2025「みらいのうた」製作委員会

――そんなご自身を導いてくれたEROさんとの再会からセッションまでの過程が、現代の人たちにどんなふうに届けられると思いますか?

吉井:(60代の)EROを通じて俯瞰して物事を観ていると、「このぐらいの年代の人は何でこんなにもロックに夢中になって、どういう日本を生きてきたのか」という、現代につながる背景が見えてくると思うんです。

ロックの行いって、全部コンプライアンスに引っかかるものだから、やっぱり現代だとすごく取り扱いが難しいものだと思う。ロックって本当に危険物なんです。扱い方を間違えると死を招くし、怪我するし、人を傷つけるし…。だから、ロックをやる人って、やっぱり普通の人間じゃない、どこかおかしい人なんですよね。そういう人が「年を取ったらこうなりました」っていう部分もさらけ出されているから、「ロックによっておかしくなった人は、今の時代どうやって生きていけばいいんですか」って問いかけられると思う。

でも今の時代はあまり「ロックっぽい」「ロックはかっこいい」ってことに夢を持たないから、ちょっと寂しくもありますけど…僕自身はいい時代にロックできたなって思います。この映画って、僕ら昭和、平成を生きてきたロックミュージシャンの今がすごく描かれているんですよね。人は誰でもやっぱり一寸先は闇で、僕も「ハンカチ落としのように人が死んでく」って劇中で言ってるんですけど、同世代のミュージシャンがどんどん亡くなった時でもあったから、何か一つの時代が切り替わるところ、逆に永遠に切り替わらないところも映し出されてるんじゃないかなと思います。

映画『みらいのうた』場面写真 (C)2025「みらいのうた」製作委員会

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■やりたいことを悔いのないようにやってこそ、『みらいのうた』が響くはず

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