孤高の芸人・永野、「大嫌い」な世界に足を踏み入れ見えたもの “戦い方”の変化にリンク
孤高の芸を突き詰めることで、お笑い界に唯一無二のポジションを築いた芸人・永野。そんな彼が「大嫌い」と公言してはばからなかった恋愛リアリティショーの世界に、MCとして足を踏み入れた。Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」は、永野の目にどう映り、その心にどんな変化をもたらしたのか。エキセントリックな男が垣間見せた、驚くほど素直な眼差しと、その先に見つけた新たな価値観に迫る。
【写真】きらびやかな雰囲気も意外と似合う 永野、撮りおろしショット
本作は、日本初となる“ヤンキー”の男女が血の気たっぷりに繰り広げる純愛リアリティショー。山奥にある学校「羅武上等学園」を舞台に、元暴走族総長、元ヤクザ、少年院出身など、社会の“はみ出しもの”として生きてきたヤンキー男女11人が、14日間の共同生活を送りながら、喧嘩に恋に本気(ガチ)でぶつかり合う。
■嫌いだと公言していた世界への戸惑い
収録が始まった当初、スタジオに立つ永野はどこかおどおどしていた。隣にはプロデューサーでもあるMEGUMI、そしてヒップホップ・アーティストのAK‐69。テレビ画面越しにすら伝わるその場の圧に、永野は素直に恐怖を感じていたという。そもそも、なぜ「恋リアが嫌い」と公言していた永野が、この仕事を引き受けたのか。そこには、自身の意思を超えた周囲の熱量と、未知なるものへの好奇心があった。
「『恋リアが嫌いだって公言していたので、(このオファーは)どういうことなんだろう』って思ったんですけど、MEGUMIさんがプロデューサーで、AK‐69さんも呼ぶと聞いて、その化学反応を見てみたいのかなと。マネージャーも興奮して『これはすごいですよ』とか言うので、『じゃあ、やってみます』みたいな感じでした」。

MCとしての役割を演じるつもりは毛頭なかった。無理に否定もせず、かといって嘘もつかず、ただ素直に、ありのままの自分でいること。それが、永野が導き出した答え。「本当に素顔な反応です。だから、おどおどしていたのもそうだし、だんだんハマっていくのも計算がないです」。
そのスタンスは、結果として番組を非常に見やすくしてくれた。まるで自分たちの代弁者のように、驚き、戸惑い、そして徐々に惹きつけられていく永野の姿は、この異色なショーにおいて、極めて重要な羅針盤の役割を果たしていた。

