中村倫也「汗をかかずにお金をもらうのが怖い」 “容易な成功”への抵抗と仕事の美学
今の時代、効率よく結果を出すこと、最短距離で成功をつかむことがもてはやされる傾向にある。しかし中村の根底にある労働観は、驚くほどアナログで実直だ。彼が恐れるのは、失敗や苦労ではなく過程なき結果を手にすることへの根源的な違和感だという。
「極端な言い方ですが、汗をかかずにお金をもらうのが怖いんです。苦労に見合わない対価は、どこか空虚で実感が湧かない。要領よく乗っかれる性格ならもっと大きな結果が出たのかもしれませんが、どうしても『そこじゃない』という思いが拭えないんです」。
中村倫也
だからこそ、中村は個ではなく集団でものづくりをすることに喜びを見出す。1人では頑張りきれないことも、誰かと一緒なら乗り越えられる。スポーツにおけるチーム戦術のように、互いの才能や個性が絡み合い、1人では到達できない場所へと作品を押し上げる瞬間を愛している。
「僕は1人だとあまり頑張れないタイプなんです。でも、スポーツでチーム戦術を組んでボールを追うように、誰かと一緒にものづくりをするのは大好きです。だからこそ、1人芝居はきっとできないでしょうね」。
『DREAM STAGE』場面写真
本作には、そんな中村の現在地が色濃く反映されている。K-POPアーティストを目指し、若さと情熱を武器に突き進むNAZEのメンバーたち。そして、一度は夢に破れながらも、彼らと共に新たな夢を見ようとする吾妻。画面の向こうには、かつて、自分だけの小さな闘いを繰り広げていた全ての人々への賛歌が込められている。
「今の時代には珍しいほどド直球なドラマです。大きな挑戦も、誰にも気づかれない小さな闘いも、振り返ればその日々はとても美しいもの。音楽業界の頂点を目指す彼らの挑戦と、再起をかける大人たちの泥臭い姿を通して、その熱を感じてもらえたらうれしいです」。
効率や要領の良さが優先されがちな現代において、あえて泥臭く、汗をかきながら進むことの尊さ。中村が体現する美しき徒労の物語は、見る者の胸に眠る熱い記憶を呼び覚ます。
(取材・文:磯部正和 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])
金曜ドラマ『DREAM STAGE』は、TBS系にて毎週金曜22時放送。

