「人生を手放さない」――浅野温子、病に倒れた角川総監督も支えた『星の教室』“ドストレートなセリフ”に込めた思い
角川映画を立ち上げ、次々と話題作を世に放ってきた角川春樹が総監督を務めた『星の教室』。角川作品に長く関わってきた浅野温子は、夜間学級を舞台にした本作のオファーを受け、「こういう王道をおやりになるんだ」と驚いたという。演じた役を「強い人」と語る一方、自身は「全然前向きじゃない」と明かす。撮影現場では、主演の桜田ひより以外は「みんなマイペース」だったと笑い、ベテラン俳優のまさかの“カンニング”秘話まで披露。気取らない語り口で、作品の舞台裏を明かしてくれた。
【写真】刈り上げヘアがかっこいい! 浅野温子、撮り下ろしフォト(6枚)
■角川春樹総監督の選んだ題材に「ものすごく大きな驚きでした」
――先ほど写真撮影を拝見していましたが、浅野さんのかっこよさにしびれました。普段、筋トレなどされているのですか?
浅野温子(以下、浅野):全然してないです(笑)。筋トレって食べ物が8割って言うでしょ。だから鶏肉とブロッコリーにしなきゃいけないんですけど、それだけじゃ嫌なんですよ。スパゲッティも食べたいし、納豆も食べたいし(笑)。

――たとえば早歩きしているとか。
浅野:してないです。ただ、私は『古事記』なんかを題材にした“よみ語り”の活動をずっとやっているんです。その公演が90分あって。舞台の上でぐるぐる歩いたりするので、それがいいのかもしれません(笑)。
――“よみ語り”では伝える側ですが、学び直しがテーマのひとつである『星の教室』では、夜間学級で学ぶ生徒のひとりを演じました。今回のお話があったときの印象は?
浅野:正直、この題材を角川春樹さんが選んだことが、ものすごく大きな驚きでした。ド正論で。角川さんの作品は、ドンパチのある大きなものが多いのに、こういう王道をおやりになるんだと。
■ドストレートなセリフと向き合った役
映画『星の教室』場面カット (C)2026 映画「星の教室」製作委員会
――浅野さんが演じた山西蕗子さんは、主人公のさやか(桜田ひより)が夜間学級に通うきっかけを作るひとりです。中国残留孤児であり、多くを背負ってきた人ですが、とても明るくて魅力的な方です。どう心を寄せて演じられましたか?
浅野:台本に明るいと書いてあるから、私はそうやっているだけ(笑)。妙にテンションを上げているつもりもなくて、脚本のまま演じた、という感じです。
――蕗子さんがみんなの前で作文を発表するシーンは、とてもエモーショナルです。「明日を諦めない。人生を手放さない」という言葉は、昨年、脳梗塞で倒れ、今もリハビリを続けている角川総監督の支えにもなっていたとか。
浅野:みたいですね。撮影しているときは全然知りませんでした。「ああ、そうだったんだ」って。ただ、大事なセリフなので観ている方たちに「伝えなきゃ」とは思っていました。ものすごくドストレートなセリフだから、迷ったら伝わらないかもしれない。いろいろ考えないで、「蕗子はこうなの!」とストレートにぶつけました。
――中川龍太郎監督(『わたしは光をにぎっている』『恒星の向こう側』)からは、何か演出はありましたか?
浅野:実は一度、「もうちょっと深く、弱さだったり、含みのある感じで」と言われたんです。「わかりました」とやってみたんだけど、すごい勢いで「元に戻してください!」と言われて。どうやら全然できなかった模様です(笑)。
