「人生を手放さない」――浅野温子、病に倒れた角川総監督も支えた『星の教室』“ドストレートなセリフ”に込めた思い
映画『星の教室』場面カット (C)2026 映画「星の教室」製作委員会
――「人生を手放さない」というメッセージは、浅野さんご自身にも響きましたか?
浅野:蕗子は強い人だと思いますし、私の周りにも、共演の(中尾)ミエさんみたいに強い人がいます。でも、私は全然前向きじゃないんですよ。
――そうなんですか?
浅野:ここまで強くないです。「人生を手放さない」なんて、言葉にできないもん、私は(笑)。でも蕗子は、できる人だと思ってまっすぐにやりました。彼女は、かつて手を離された過去を持つ人です。だからもう二度と、自分で“大切なものは手放さない”と思っている。その核が抜けたら作品を壊してしまうし、蕗子という人の説得力がなくなるので、そこはすごく大事にしました。
――蕗子さんの思いがまっすぐに伝わってきました。
浅野:現実の社会にも、こういう人っていると思うんです。表に見えていない“蕗子さん”たちに、「伝わっていますよ」と言ってあげたいです。
――ほかに、浅野さん自身の印象に残ったエピソードはありますか?
浅野:さやかの母親役の(仙道)敦子ちゃんは、本当に大変だっただろうなと思います。台本を読んで、これは誰がやるんだろうと思ったら敦子ちゃんで、「うわぁ」って(笑)。いじめを受けた子と、その親が、問題に一生懸命になる話はあっても、親子のその先までを描くのは、なかなかないですよね。それをやりきった敦子ちゃんと(父親役の)萩原聖人くん、ひよりさんは、本当にすごいと思います。
――親の目線でも、役者としても、大変だと感じたと。
浅野:答えの出ない役ですからね。なかなかきついですよ。ああ、私は蕗子の役でよかったと思いましたね(笑)。
■スマホで歌詞をカンニング!? マイペースな現場と、読者へのメッセージ
――夜間学級のシーンが本当に楽しそうでした。キャストは年齢の幅もあったと思いますが。
浅野:何の違和感もなかったです。一番大人だったのは、さやか=ひよりさんで、あとのメンバーはみんなグダグダ(笑)。それぞれ勝手にマイペースでした。
――劇中では「見上げてごらん夜の星を」を歌う場面もありました。歌手でもある中尾ミエさんはもちろんですが、みなさんなじみのある曲だったのでしょうか。
浅野:それが、あんまりなかったんです。ちゃんと歌えていたのはミエちゃんだけで、あとはみんな、歌詞が覚えられなくて。「見上げて~、え、次なんだっけ?」みたいな(笑)。ガクさん(山本學)なんて、カンニングでスマホを見ていたら、画面が光っちゃって。「ガクさん、光が映ってます」ってスタッフさんに注意されたりして(笑)。結局、ミエちゃんに任せて口パクしていたら中川監督に「ちゃんと覚えて歌ってください」と怒られちゃって。みんなで「はーい」って言いながら、また口パクしてました(笑)。
――そうした楽しい現場の空気も感じられる作品でした。最後に、公開に向けてメッセージをお願いします。
浅野:観ていただいた方にどんどん盛り上がってもらって、それを周りの方たちに伝えていただけたらいいなと思います。そうやって門戸を広げて、たくさんの人たちにこの王道の映画を観ていただけたらうれしいですね。

(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)
映画『星の教室』は、11月6日より全国公開。
